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目で見る時は知らなかった驚異的な音の世界

目で見る時は知らなかった驚異的な音の世界

Posted July. 20, 2019 09:20,   

Updated July. 20, 2019 09:20

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海と山が手招きする夏。今年も多くの人が休暇地で様々な記憶を頭に詰めてくるだろう。それから語るだろう。まぶしいほどの青い海、曲がりくねった森、涼しい小川を。しかし、戻ってきて「クールな波の音、森の中の鳥の鳴き声、渓谷の水音」を思い出す人は多くない。私たちの経験と記憶は、そのほとんどが視覚に依存するからだ。

この本は、音に関するすべてのことを聞かせてくれる「一般人のための音響学」と言える。九つの章を通じて豊かな響きのある古代劇場と遺跡、動物の鳴き声、砂丘と滝から出る神秘的音、世界で最も静かな場所、現代の人工物の音を教えてくれる。「耳で経験する世界旅行」の情報書とも言える。

ロンドン・セントポール大聖堂のドームに上れば、反対側に立った人のささやきを聞くことができる。実はアーチやドーム型の数々の構造物がそうだ。音が球面の端を回って、内側に出ないからだ。氷の上を歩く時、鳴るピーという音を聞けば、氷が安全であることが分かる。オーケストラが舞台の上で調整するオーボエの音(A音)と似ていれば安全だが、5音上のE音に近ければ、氷の厚さが5センチに過ぎないから、注意しなければならない。

数万人を収容するギリシャ・ローマ時代の劇場では、拡声装置一つなくてもコンサートが開かれる。科学に先立って経験で驚異的な音響を創造したのだ。しかし、古代人も時にはミスをした。シーザーの側近ウィトルウィウスは、「劇場のあちこちに花瓶を置いておくと、俳優の声がよく聞こえる」と主張し、実際多くの劇場がそれに応じた。しかし、現代の実験結果、花瓶は何の効果もなかった。

動物が歌う最も美しい歌は何だろうか?西洋では、ナイチンゲールの音を挙げる。茂みの中で生きるので、容貌より歌を進化させたのだ。1924年、BBCラジオは、チェリストの演奏を真似するナイチンゲールの音を放送して人気を集めた。一方、最も騒々しい生命体は何だろうか?アフリカのセミがその一つだ。音の大きさが岩を掘削するドリルと似ている。

全世界の「音響ランドマーク」を紹介しながら、韓国の聖德大王神鍾(エミレ鐘)を紹介する部分がうれしい。神秘的な音の秘訣は何だろうか?対称が軽くずれていて、似た周波数同士の干渉(うなり)が起こる。西洋鐘の職人であれば、対称性を合わせようとしたはずだし、神秘的な音も得なかっただろう。

著者は、現代人の感受性を開く「サウンドワーク(Soundwalk)」を提供する。何も言わずに歩きながら周りで聞こえる音に集中すればよい。自動車騒音の間に聞こえる鳥の羽ばたき、人々のささやき、ビルの間を吹く風を集中して聞けば、目だけでは体験できない新しい空間が開かれる。

原題「サウンドブック:世界の音響的驚異の科学(The Sound Book:The Science of the Sonic Wonders of the World・2014年)」。


ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com