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金剛山観光を強調する政府与党、「ひとまずやってみよう」はいけない

金剛山観光を強調する政府与党、「ひとまずやってみよう」はいけない

Posted June. 27, 2019 08:59,   

Updated June. 27, 2019 08:59

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与党「共に民主党」の李海チャン(イ・ヘチャン)代表が26日、党拡大幹部会議で、「統一部に、韓国国民と他の国の人々も金剛山(クムガンサン)、平壌(ピョンヤン)、開城(ケソン)など北朝鮮を観光できるよう努力してほしいと要請した」と話した。李氏は前日、国会外交統一委員会でも、「政府が(北朝鮮観光を)積極的に推奨するとまでは言わないが、許可すればいいだろう」とし、北朝鮮観光が制裁対象かと尋ねた。これに対して、金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一部長官は、「観光それ自体は制裁対象ではない」と答えた。

与党代表が要請して主務長官が応える姿から、金剛山観光の再開を念頭に置いた地ならしではないかという観測が流れている。トランプ米大統領の訪韓を目前にしているうえ、金剛山観光は文在寅(ムン・ジェイン)大統領が既に「米国と協議する」と予告している事案だ。文大統領が先月、トランプ氏との電話会談で、北朝鮮へのコメ支援に対する支持を確保したように、今回のソウル会談で、金剛山観光にも肯定的な反応を得られると期待しているようだ。

しかし、金剛山観光は北朝鮮への人道的支援とは異なる問題だ。李氏は、「制裁とは衝突しない緊張緩和案」と言ったが、金剛山観光が再開されれば、現金の大量流入は避けられず、これを禁止した国連制裁違反になるほかない。非核化に進展がない状況で、観光の代価が核開発の資金に流れるのではないかという論議も避け難い。金剛山観光は、2008年の韓国人観光客殺害事件で中断した。その後、謝罪や身の安全の保障もない。にもかかわらず、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、「何の前提条件や代価なく再開する用意がある」と述べた。このような居直りの状況で観光を再開して、韓国国民が受け入れるだろうか。

与党には最近、南北関係の改善に向けて「先に動かなければならない」という主張が広まっている。丁世鉉(チョン・セヒョン)元統一部長官は最近、「韓国の大統領が問題を起こして、つまり規制事実にして、米国の了解を取りつける『先に措置、後に了解』方式でアプローチする必要がある」と述べた。しかし、そのように北朝鮮の歓心を買おうとしても変わることはない。制裁違反や国際協力離脱論議に加えて韓国内部の葛藤まであらゆる後遺症を生むだけであり、南北関係はより一層悪循環に陥るほかない。