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夢を売って寂しさを買う

Posted June. 22, 2019 09:30,   

Updated June. 22, 2019 09:30

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卞栄魯(ピョン・ヨンロ)詩人といえば、多くの人々は「論介(ノンゲ)」と「酒」を覚えている。事実そうだ。卞栄魯詩人は、「インゲン豆の花よりも青いその波の上に、ケシよりも赤いその心」という詩「論介」を書いた詩人だ。そして酒仙というニックネームがつくほど、お酒を好んで飲んだ詩人だった。ところがここで終わればさびしい。卞栄魯は、思ったより魅力が無限である。まず、卞栄魯は朴木月(パク・モクウォル)詩人が最も好きだった詩人だった。「木月」というペンネームも、卞栄魯の号「樹州」から「木」の部分を取ってきたものだ。朴木月だけでなく、他の靑鹿(チョンロク)派詩人たちも、卞栄魯詩人を心底からすごいと認めていた。

初期の韓国文壇で活動した人の中には、日本の留学生出身が多かった。海外派知識人たちの間で、卞栄魯は一際ユニークな人だった。彼は、ソウルっ子で旧韓末の名門家出身でありながら、日本留学からスター―とせず、この地で勉強した人だった。ほぼ自力で英語を習得したが、そのレベルは、英詩を創作するほどのものだった。さらに、彼が書く作品は、透徹した民族精神と美しい叙情を同時に備えていた。透徹であれば、なかなか叙情的にはなれず、叙情的であれば、透徹になることは容易ではない。それほど卞栄魯の詩文は天才的だった。この天才の作品が論介一つであるわけがないので、今日は他の作品を紹介したい。夢のような人を忘れるために逃避したが、鳥も花も邪魔ばかりするという詩だ。夢と孤独の間に生まれて死ぬなんて、詩人の運命を持って生まれた樹州卞栄魯自分を語るような気がする。