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1000万観客目前の「ボヘミアン・ラプソディ」とその後…「聞く映画」への関心爆発

1000万観客目前の「ボヘミアン・ラプソディ」とその後…「聞く映画」への関心爆発

Posted January. 15, 2019 07:54,   

Updated January. 15, 2019 07:54

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「ボヘミアン…」の底力は、観客ランキングだけで現れるものではない。韓国国内映画界に新たな風を吹き込んでいる。観客は過去の音楽映画を探して「コンサートの代理満足」を続けており、配給会社は大ヒットを夢見て、別の音楽映画探しに乗り出している。

ドキュメンタリー映画「コールドプレイ:ヘッドフル・オブ・ドリームス」が上映された昨年12月29日。ソウル陽川区(ヤンチョング)にある映画館で、観客はコールドプレイの人気曲「ビバラビダ(Viva la Vida)」の前奏に合わせて拍手をした。シングアロング(一緒に歌う映画)館でもなかったが、一部の観客は英語の歌詞を口ずさんだ。この日劇場を訪れたイ・ジュンイル氏(31)は、「『ボヘミアン…』を見た後、音楽が素材である映画は全て拾ってみている」とし、「静かに座って映画を見る文化が変わるような気がして、音楽、映画ファンとしてうれしい」と語った。

実はコールドプレイの誕生から7回目のアルバムツアーまでを盛り込んだこの映画は、全世界で昨年11月14日の一日だけ上映された。しかし韓国内では12月28日から2日間公開された。すると、ソウルの8つの館での座席占有率は80%を越え、「予約戦争」まで起きた。結局追加で上映館が編成された。配給会社の関係者は、「『ボヘミアン…』に出てきた1985年の「ライブエイド」公演のようにコンサート実況を劇場で体験したい観客が多かった」と伝えた。

「クイーン」の特殊性を狙う動きも相当ある。配給会社「アットナインフィルム」は最近、ファンの要請に応じて「クイーンロックモントリオール」の再公開のために、日本の配給会社と協議している。韓国内では2009年に公開されたこの映画は、1981年にカナダのモントリオールで行われたコンサートの実況を盛り込んでいる。アットナインフィルムの関係者は、「当時は観客が1万9000人にとどまったが、今でははるかに多い観客を集めることができるだろう」とし、「『シングアロング館』のように公演会場を借りて上映する方法も検討している」と明らかにした。

最近発表や、公開を控えている音楽映画も、追い風に乗って期待が膨らんでいる。3日公開した「Summer(leto)」は、ロシアの高麗人出身ロックスター「ヴィクトル・ツォイ」の若い頃を扱った。「興行は容易でないだろう」という予想に反して、4日間で観客1万人を突破した。5月は、英歌手エルトン・ジョンの一代記を描いた「ロケットマン」が公開される。この他にもビートルズとジャーニー、1980年代のLAメタルの全盛期を開いたモトリー・クルーなどを題材にした映画も今年、公開される予定だ。

こんな状況の下、配給会社各社は、もう一つの大ヒット音楽映画探しに苦心している。カート・コバーン、マイケル・ジャクソンなど「映画化」が有力なアーティストのリストを共有し、小さな音楽映画も見逃さないために、国際映画祭に派遣する社員を増やしている。とある配給会社の関係者は、「音楽映画の価値が以前より高くなって、契約金も大幅に上がるだろう」と予想した。観客のリクエストで「ボヘミアン…」シングアロング館が企画されただけに、映画館も「観客参加型」映画探しに苦心している。

ユン・ソンウン映画評論家は、「観客は、高価なコンサートの代理満足のためにコストパフォーマンスの高い劇場を訪れている」とし、「『ボヘミアン…』の成功で『N回目観覧』の重要性が浮き彫りになっただけに、観客が一緒に体験できる様々な劇場別戦略が必要な時点だ」と分析した。


申圭鎭 newjin@donga.com