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遺物の焼却場になった博物館

Posted September. 05, 2018 09:23,   

Updated September. 05, 2018 09:23

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フランスとドイツの歴史的な背景は、韓国と日本のそれとよく比較される。フランスと韓国はいずれも第2次世界大戦でドイツと日本に占領された痛みがある。

今年で開館30年を迎えるフランス北部都市カンヌにある戦争博物館を先週末訪れた。カンヌは、ドイツ軍没落の決定的な役割をした1944年6月のノルマンディ上陸作戦が繰り広げられたところだ。

年間65万人が訪れる有名なこの博物館で驚いたのは、膨大な記録の量と歴史を見つめる淡々とした視線だった。

記念館の前には、侵略国であるドイツの旗も掲げられ、ドイツ語のガイドも親切についていた。感情的に怒りを誘発する刺激的な装置はなかった。

第1次世界大戦が終わり、第2次大戦に進む政治・経済的背景、レジスタンスはどのようにナチスの侵略に抵抗したのかなどを戦争の遺品と記録で主観的な判断なく見せていた。フランスの親ナチス政権だったヴィシー政権の統治と没落の過程もありのまま客観的に指摘した。

フランスがこのように屈辱の歴史を淡々と受け入れることは、ドイツの徹底した反省があったゆえ可能だった。

ドイツのメルケル首相は最近、アルメニア訪問の際、第1次大戦で同盟国だったオスマン帝国の主導で強行された大量虐殺の被害記念碑を訪れ、反省の思いを込めて献花した。ハイコ・マス外相は、ポーランドのアウシュビッツ収容所を訪れ、「ナチスの行為に対するドイツの責任は絶対終わらないだろう」と繰り返し謝罪した。ヨアヒム・ガウク前大統領は、第1次大戦でドイツ軍の敗北に決定的な契機になった「アミアン戦闘」100年記念式に出席した。ドイツの過去の歴史と関連するここ1ヵ月間の一連の動きだ。

日本はどうか。カンヌ戦争博物館では、第2次大戦でドイツと同盟だった日本の対アジア侵略も扱われている。そのコーナーでは、15歳以上視聴可の動画が上映されていた。日本の南京侵略と大虐殺を扱った映像だった。家に押し入った日本軍に両親を殺され、2人の姉も強姦されて殺されるのを隠れて見ていた中国人女性の証言や中国人教授の解説が含まれていた。

博物館のどこにも慰安婦被害者や強制労働のような当時の韓国の話はなかった。韓国慰安婦問題はフランスであまり知られていない。日本の執拗な妨害のためだ。3月にフランス下院議事堂で慰安婦被害者イ・ヨンスさんの証言の席が設けられたが、参加した議員はフランス上院と下院の韓国-フランス親善協会長の2人だけだった。日本大使館が議員に参加しないよう呼びかけたためだ。その場に参加したカトリーヌ・デュマ上院議員は、「今日までこの問題を知らなかった」と打ち明けた。

アジア大会で日本を破って金メダルを取ったU23サッカー代表チームのキム・ハクポム監督は3日、入国の際、「試合前、選手たちに『日本の国旗が韓国の太極旗の上に掲げられることは見ることはできない』と話した」と語った。気の晴れるサイダーのような発言だ。

それでも第2次大戦の加害者と被害者であるドイツとフランスが共に欧州統合を主導している姿は、内心うらやましい。両国は、欧州を一つにまとめる大規模の経済発展を成し遂げ、米国と中国、「ビッグ2」から利益を保護して実利を得ている。一方、韓国と日本は、いつも過去の問題が足を引っ張って足踏み状態だ。日本がドイツにようになる日が来るだろうか。万一そのような日が来たら、韓国はフランスのようにできるだろうか。


董正民 ditto@donga.com