Go to contents

「IRA問題で開かれた協議」バイデン親書で「配慮」と受け止めるのはまだ早い

「IRA問題で開かれた協議」バイデン親書で「配慮」と受け止めるのはまだ早い

Posted October. 07, 2022 08:35,   

Updated October. 07, 2022 08:35

한국어

バイデン米大統領が、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に親書を送り、「インフレ抑制法(IRA)に対する懸念を承知している。韓米間の率直かつ開かれた協議を続けていく」と明らかにしたと、大統領室が5日、伝えた。金恩慧(キム・ウンヘ)広報首席秘書官は、「今後、韓国企業に配慮するという考えを明らかにしたもの」と説明した。このような中、米財務省は、IRAの細部施行手続きの準備に向けた意見聴取を実施すると明らかにし、韓国製EVに対する差別論議が解消されるか注目される。

バイデン氏の親書は、いつでも電話できる同盟国首脳間の意思疎通の方式を考えると、ややぎこちなさがある。それゆえ、野党が提起する「外交惨事」論議を鎮静化させるための政治的努力の結果ではないかという見方があるのが事実だ。具体的な解決策やその模索のための方向性も提示されていないメッセージに、肯定的に反応することはできない。ただ、米大統領自らの意思表示であるため、今後どのような具体的な措置が出てくるのか様子をうかがうことだ。

政府の内外では、これまで韓国の問題提起に米国当局者が見せた態度、すなわち「懸念を理解する」という水準から脱し、今「解決策を模索する」という方向にバイデン政権の気流が変わったという観測が流れている。実際、米国内でもIRAによる同盟との不協和音を懸念する声が大きくなっている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、「IRAがアジアと欧州同盟国の怒りを招き、中国を牽制する同盟の間で緊張が高まっている」と報じた。

米財務省が年末までIRA施行に向けた意見聴取に入り、その項目には韓国製差別の核心である「北米製」という地域範囲と「最終組立」の定義などの争点が含まれている。議会のIRA改正なしに米政府が法施行過程でどれだけ柔軟性を発揮できるかは疑問だ。韓国政府としては、韓米の協議体だけでなく様々なチャンネルを通じて是正意見を出し、最大限反映されるよう努力しなければならない。

米中戦略競争が全防衛覇権戦争に広がる状況で、中国牽制のための同盟・友好の結束を唱えたバイデン政権だ。今は中間選挙を控えて国内的「米国第一主義」の風を無視することは難しいが、同盟が背を向ける事態を放置することはできないだろう。だからといって米国の「韓国配慮」を速断してはならない。今後も、米国が自国主義を振り回さないよう世界貿易機関(WTO)と自由貿易協定(FTA)の違反に対する原則的な対応も排除してはならない。