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金正恩氏の「核先制不使用」言葉遊びに大袈裟に反応する政府与党

金正恩氏の「核先制不使用」言葉遊びに大袈裟に反応する政府与党

Posted October. 13, 2020 08:14,   

Updated October. 13, 2020 08:14

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与党「共に民主党」の朴範界(パク・ポムゲ)議員は12日、ラジオ番組に出演して、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の10日の軍事パレードでの演説をめぐって、「(核兵器の)先制攻撃はしないと明確にしたことは認めなければならない」と述べた。

国防部が前日、「軍事力を先制的に使わないという北朝鮮の立場に注目する」と明らかにしたことをそのまま受け止め、北朝鮮が対外関係を修復する意向を示した肯定的なメッセージだと評価したのだ。

正恩氏の「戦争抑止力」、すなわち核兵器関連発言に対する国防部の誤った解釈が、このように与党の世論形成につながっている。しかし、正恩氏の発言は、こうした。「戦争抑止力が乱用されたり絶対に先制的に使われたりすることはないが、いかなる勢力であれ我々を狙って軍事力を使おうとすれば、我々の最も強力な攻撃的力を先制的に総動員して報復する」。この一文だけ見れば、我田引水式解釈を越えて厳然たる事実歪曲であることは明らかだ。

正恩氏が述べた「先制不使用(No First Use)」も心にもない言葉にすぎない。北朝鮮はすでに2016年の第7回労働党大会の時、核兵器の先制不使用を明らかにし、一昨年には核兵器と核技術移転もしないと追加した。しかし、それも「核脅威や核挑発がない限り」という条件付きだった。中国が1964年に初めて明らかにした「先制不使用」の原則も、実際は後発核開発国家が自分たちの核保有を正当化し、核クラブ国家に圧力をかける宣伝手段だった。

 

北朝鮮はすでに核保有国のように振る舞っている。この3年間、危機と交渉、膠着のサイクルを繰り返し、核高度化の時間を稼ぎ、今や核国家の地位を固めるという思惑を露わにしている。来月3日の米大統領選後、バイデン候補の当選にも備えている。最近の対南融和ジェスチアーも同盟を重視するバイデン氏に合わせて韓国を「飛び石」にする狙いがあるにすぎない。

こういった現状があるにもかかわらず、国防部は「攻撃力を先制的に総動員して報復する」という正恩氏の脅迫を直視せず、どうでもよい話を引き出して強調した。このような誤魔化しの評価をほかでもない国防部が出した。大統領府の肯定的評価が出るや、その基調に合わせるとし、愚にもつかない話をしたのだ。国防部は政府のどの機関よりも、北朝鮮の軍事的能力と意図を正確に読まなければならないが、これでも安全保障の責任を負うと言えるのか実に情けない。