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世界最高の動物福祉「AZA」の認証を受けたエバーランド動物園に行く

世界最高の動物福祉「AZA」の認証を受けたエバーランド動物園に行く

Posted September. 28, 2019 09:22,   

Updated September. 28, 2019 09:22

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26日午前10時、京畿龍仁(キョンギ・ヨンイン)のエバーランド動物園で会った1990年生まれの象「コシギ」は、4メートルの高さに設置された「滑車」に鼻を伸ばして、その中にある干し草を口に運び続けた。先月に設けられたこの装置は、象が底にある餌だけを食べれば、鼻の筋肉が硬直する症状を予防するために作られた。鼻の筋肉発達を誘導し、鼻を上げたときに口の中と歯の健康までを確認できる。

さらにコシギは、20メートルほど離れた人工構造物の中に隠された餌を探しに移動した。近くでお風呂を楽しめるプールまで楕円形で歩くと、コシギの移動距離は、すぐに40メートル以上になる。限られたスペースで動物の活動量を増やすための「行動豊富化プログラム」の一環だ。一日の日課を終えたコシギは、屋内宿泊施設で爪から耳まで細心の管理を受ける。基本食事のほか、ビタミンやカルシウムを食べ、歯の健康のために生の竹もしばしばかみ砕く。パク・ジョンウク象担当飼育係は、「獣医と定期健康診断を行い、大小便を通して地道に体の状態を確認している」と説明した。

動物園を単なる「展示館」ではなく、「安全な生息地」として発展させようとするエバーランドの努力が成果を上げている。世界最高水準の動物福祉運営システムを備えたところだけが受ける「米国動物園・水族館協会(AZA)」の認証を今月8日、エバーランド動物園が獲得したのだ。AZA認証を受けたところは、北米2800以上の動物機関のうち10%を満たない。アジアでは韓国(エバーランド・ソウル大公園)、シンガポール、香港などで5カ所のみあるほどだ。

1976年の設立後、40年以上の運営ノウハウを積み重ねてきたエバーランドは、動物福祉のレベルを一ランク引き上げるために、AZA認証を申請した。AZA関係者らの現場調査に備えるため、エバーランドは2017年からAZAの認定準備をしてきた。大企業の人事システムに匹敵する動物個体ごとの記録管理システム「ZIMS」を導入し、動物に合わせた管理能力を引き上げた。いわば「族譜」をもとに、繁殖時の遺伝欠陥を最小限に抑え、自然哺育如何や集団生活経験などを考慮して、動物のストレスを軽減させた。

同日エバーランド動物園では、動物福祉のための様々な努力を見ることができた。キリン担当飼育係は、穴のあいた円形筒からハチの巣状の筒など、いくつかの種類に持っていた。キリンが40~50センチに達する長い舌を絶えず動かすための遊び道具だった。舌を頻繁に動かしてこそ、唾液の分泌が多くなり、消化がスムーズになるからだ。キリンの室内宿の壁には、背中を自分で掻くことができる孫の手も付いていた。チョン・ウジュ・キリン担当飼育係は、「キリンは新しい乗り物にすぐ飽きるため、毎月、毎週計画表を組んで変化を与えている」と説明した。

パンダは動物園最高のVIP待遇を受けていた。ロバオ(2012年生まれ)、アイバオ(2013年生まれ)のわずか2頭のジャイアントパンダのために7000平方メートルの敷地を確保し、別の健康検診室と分娩室まで揃っていた。新鮮な竹だけを選んで食べるロバオとアイバオのために、週二回慶尚南道河東(キョンサンナムド・ハドン)で計800キロの竹が空輸され、冷蔵庫に保管される。毎日排便、排尿の量と睡眠時間を確認して、健康状態をリアルタイムで把握する。

虎、ライオン、熊などの猛獣たちのための試みも目に付いた。木でできた寝床を別途製作して健康管理を支援し、後肢の筋肉強化のためのプログラムも豊富に用意されていた。鶏の胸肉の中に栄養剤を隠し入れ、飲み水台に電解質を溶かして入れて、不足栄養を補う努力も傾けている。老弱な猛獣のために、牛の生レバーなど、特別な料理を与えることもある。

エバーランドは、絶滅危惧種の保全と繁殖の面においても、AZAから認められた。エバーランド動物園では、現在約140種、1600頭の動物があるが、国際的絶滅危惧種(CITES)1、2級だけでも約80種で、全体の60%に達している。このうち、過去5年間繁殖した絶滅危惧種は約10種、30頭に上る。エバーランドは、国内で唯一チーター、金の猿、ゴールデンライオンタマリンなどの繁殖に成功した。

エバーランドは、2004年から子供たちのための体験学習プログラム「動物サラン団」を運営してきた。毎年2500人余りの子どもたちが飼育係と一緒に動物を正しく理解するための時間を持つ。エバーランド動物園のユン・スンヒ獣医は、「動物が健康で幸せであってこそ、動物を見る人も幸せになれるという信念を持っている」とし、「絶滅危惧種を保護し、動物に対する正しい認識を高める安全な生息地としての機能を強化していきたい」と語った。

シン・ヒチョル記者 hcshin@donga.com