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「全く不便でない」という済州島

Posted May. 08, 2019 09:40,   

Updated May. 08, 2019 09:40

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「不便ではないんですか?」。スーパーから段ボール箱をなくし、葬儀場から使い捨て用品を取り除いた現場を見るために2日、済州島(チェジュド)を訪れた記者が現地で最も多く口にした質問だ。買い物をしたのに、モノを入れる段ボール箱がなければ?弔問客が詰めかけてくるのに、使い捨てカップがなければ?これまで使っていた使い捨て用品が消えた生活は想像するだけでも「不便だらけ」だ。

しかし、現地で耳にした答えは聞きなれないものだった。「あまり不便でない」という答えが一般的だった。たまに「このほうがはるかにいい」という回答も帰ってきた。そして、実際の現場に行ってみると、あそこの人々は消えた使い捨て用品になんら不便を感じていなかった。スーパーの自律包装台は閑散としていた。紐とテープを備えておいて、絶対必要な場合だけ、段ボール箱を有料で購入して使えるようにしたが、午前中、誰も段ボール箱を使わなった。3つのエコバックに春雨と魚、卵などを入れて帰ったイ・ソヒョンさん(44)は、「段ボール箱に入れて帰ると、自宅でテープを外した後、ボックスを畳んで出さなければならず、よけいに面倒だ」とし、「エコバックはくるくる丸めておいて、後で再び使えばいいからはるかに便利だ」と話した。

葬儀場も同じだった。使い捨て用品が消えた葬儀場では、きれいに洗った器とカップで弔問客をもてなした。葬儀場では弔問客が一度に駆けつけてくることもあるので、「どうしても不便だ」という回答が戻ってくると思っていた。しかし、今回も答えは一様だった。かえって「使い捨て用品がないと大げさに騒ぐほど大変なことはない」という笑い声だけがあふれた。ただし葬儀場の従業員も、最初は大変心配したという。使い捨て用品を無くせば、皿洗いが増え、従業員の数を増やす必要があるかと悩んだという。しかし、実際に向き合った「使い捨て用品のない現実」では何も起こらなかった。従業員をさらに雇わなければならないほど、仕事も増えなかったし、皿洗いの量が増えた代わりに使い捨て用品を補充して片付けることがなくなった。

スターバックスは、昨年5月から個人カップを持参する顧客を対象に、飲み物の価格を300ウォン割引したり、現金のように使用できるポイント(エコスター)が貯まる。その結果、1年間、全国の店舗で使った個人カップは、1081万9685個に達した。前年同期に使用した個人カップ数(389万6635台)と比較して3倍近く増えた。個人カップを使う人たちが急速に増えている。

環境部は今年上半期中に、「使い捨て用品の使用削減ロードマップ」をまとめる計画だ。今回のロードマップには、済州島の成功をきっかけに葬儀場内の使い捨て用品の使用制限などが盛り込まれるという予測が出ている。人々は早くから使い捨て用品が消えれば不便だろうと、心配するかもしれない。しかし、何の不便を感じない済州地域住民を見ながら、「人間は適応の動物」であることを改めて感じた。適応までの時間が必要になることはあっても、適応できないことはない。それが私たちの環境を守ることであれば、なおさらそうだ。


カン・ウンジ記者 kej09@donga.com