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ノーベル賞は食卓での対話から生まれる

Posted April. 23, 2019 08:21,   

Updated April. 23, 2019 08:21

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紀元前から義務教育を実施してきたほど教育を重視するユダヤ人は、世界のどこで暮らしてもイェシヴァという図書館を建てた。イェシヴァは「座っている」という意味のヘブライ語で、すべてのタルムードのテーマを座って勉強するということに由来する。興味深い点は、図書館に座れば、向いや隣に座った人の顔がすぐ目の前にあるということだ。本を読むよりも対話のために作られた空間構成だ。「勉強=対話」ということを象徴的に示す。

そのため図書館が騒々しい。韓国の仕切り構造の図書館の静かさとは程遠い。伝統的なユダヤ人家庭も居間に座れば、家族が顔を合わせるように家具が配置されている。対話を誘導する空間構造だ。座れば正面にテレビがあり、家族は隣の人も見ることが難しい韓国の居間の構造とは対照的だ。

ユダヤ人はこのように勉強だけでなく生活そのものが対話と討論中心だ。対話と討論をしてみると、創意的なアイディアが自ずと浮び上がるという考えからだ。創意的なアイディアを集める「ブレインストーミング」が彼らには日常だ。むろん、彼らが生まれながらにして対話と討論が上手いというわけではないだろう。どこかで誰かに教えられて学んだのだろう。対話法は言語を習得する時期に教えると効果が最大化される。ユダヤ人が家庭で食卓の対話を強調する理由でもある。

実際、ユダヤ人はできるだけ毎日、一日一食は家族が共に食事をして話をする。些細な日常から学校や宗教生活、進路や職業の選択などテーマは無尽蔵だ。『<正義>とは何か』という本で有名なマイケル・サンデル米ハーバード大学学哲学科教授は、国内メディアとのインタビューで、「2人の息子が5~7歳の時から、家族が夕食のテーブルを囲んで話をした」とし、「初めは日常生活をテーマに考えて討論したが、子どもたちが成長して世間を見る目を育てた」と話した。

ユダヤ人がノーベル賞の2、3割を占める秘訣が「食卓の対話」という主張まである。2004年にノーベル物理学賞を受賞したデイビッド・グロス米サンタバーバラ・カリフォルニア大学教授は、「科学分野でユダヤ人が卓越した理由は遺伝的な要因ではなく、食卓で親が子どもの疑問を解く対話のおかげ」とし、「父親と3人の兄弟が毎日夕食を食べながら多彩なテーマをめぐって知的な話をした」と語った。

韓国も食卓の教育を重視する。しかし、主に「大人より先に箸をとるな」など食事のマナーが中心だ。5月は「家庭の月」だ。子どもの日、父母の日、成年の日など家族が集まる日が多い。このような日を機に食卓の対話を本格的に始めてみるのはどうだろうか。毎日するのが難しいなら、一週間に一度だけでも。特に進路や職業の選択で大きな意味がある。子どもは親が認める事をするのはどんなことでも楽しい。家庭での対話が進路探しの出発点になるのではないか。質問する方法など対話のテクニックを訓練するのはおまけだろう。


李恩澤 nabi@donga.com