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決して諦めるな

Posted May. 10, 2019 08:47,   

Updated May. 10, 2019 08:47

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勝利を確認した大柄の男は、膝が割れそうな勢いで跪いた。祈りを捧げるように両手を合わせるかと思いきや、やがて顔を隠したまま号泣した。敗れた選手たちの一部もピッチにうつ伏せに倒れては泣き出した。劇的な勝負が生み出した、似ているようで全く異なる二つの場面だった。

孫興民のトッテナム・ホットスパー(イングランド)が出場している欧州チャンピオンズリーグ(CL)で信じられないドラマが相次いで演じられている。トッテナムは9日、敵地で行われたアヤックス(オランダ)との欧州CL準決勝第2戦で前半だけで2点を奪われながら、後半に3得点を挙げた。与えらえた5分のロスタイムも終わりかけた時、奇跡的な決勝ゴールが生まれた。飛び上がりながら喜ぶ選手たちの前で涙を流しているトッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督の姿が妙な調和をなした。クラブ創設137年目のトッテナムを初めて「夢の舞台」の決勝に導いたポチェッティーノ監督は、「サッカーでなければ、今のような感情を感じることはできない。サッカーに感謝する」と語った。

めったに見れないドラマは前日にもあった。欧州CL準決勝第1戦で0-3で完敗を喫し、誰もが悲観的な結果を予想していたリバプール(イングランド)は本拠で行われた第2戦で「サッカーの神様」リオネル・メッシがはだかるFCバルセロナ(スペイン)を4-0で制して決勝に進出した。熱狂のるつぼと化したアンフィールドのスタンドから大逆転劇を見守っていた観衆には、今季のプレミアリーグで得点ランキング1位を疾走している、リバプールのFWモハメド・サラーの姿もあった。先週末のプレミアリーグで負傷して脳震とう症状を見せ、ベンチ外となったサラーは試合終了後にグラウンドに降りて、選手たちと抱き合った。彼が来ていた黒地のTシャツに白い文字で書かれたのは「NEVER GIVE UP(決して諦めるな)」だった。英国のデイリーメールは「本当に気の利いたメッセージだった。リバプールを試合を覆しだけのパワーを与えるに十分だった」と評価した。

プリントされたのは

諦めないことこそ、サッカーをはじめスポーツの神髄だ。野球のメジャーリーグの伝説的な捕手だったヨギ・ベラ氏が残した「終わるまで終わらない」というのと同じ脈絡だ。トッテナムもリバプールも最後まで力の限りを振り絞ったから、「勝負はついた」と見られた試合結果を覆すことができ、簡単に忘れられない感動を与えた。選手たちは勝利を渇望し、最後の一滴まで汗を流す。私たちは、そうして起きた奇跡を見ながら、時には繰り返されつまらないと感じる日常から暫し逸脱する。しかし、私たちの日常でも、やはり奇跡を生むのは、同じように「NEVER GIVE UP」を秘めた精神だろう。諦めなかったから決勝で対戦することになったトッテナムとリバプールは来月2日に運命の一発勝負を繰り広げる。不屈の精神の塊たちによる「奇跡の決勝」だ。ファンは、その熱いものを待っている。


李承鍵 why@donga.com