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食料を拒んだ金正恩氏の軍事的欲望、プーチン氏に圧力をかけて判断の誤りを防がなければ

食料を拒んだ金正恩氏の軍事的欲望、プーチン氏に圧力をかけて判断の誤りを防がなければ

Posted September. 23, 2023 08:37,   

Updated September. 23, 2023 08:37

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記のロシア訪問が終わった。専用列車で2700キロを走ってロシアの国境に到着し、ロシア国内だけで移動距離4200キロを記録した。再び平壌(ピョンヤン)に戻った距離まで加えると、9泊10日で計1万キロをはるかに超える強行軍だ。政府当局者は、「金正恩氏は列車で眠り、計画した日程をすべて消化したようだ」とし、「成人病に苦しんでいるという金正恩氏の健康に対する再評価が急務とみられる」と話した。

今回の訪ロ直前、韓米情報当局の視線は、北朝鮮とロシアの軍事協力の可能性に焦点が当てられた。核潜水艦・衛星などロシアの先端技術が必要な北朝鮮と、北朝鮮が保有する砲弾など通常器の支援が切実なロシアの立場が一致し、朝ロ軍事協力の序章になるのではないかと懸念されている。

こうした懸念の視線を楽しむかのように、金正恩氏は訪問場所から露骨に軍事協力のキーワードを連想させる所を選んだ。ボストチヌイ宇宙基地での首脳会談直後に産業都市コムソモリスク・ナ・アムーレに移動し、戦闘機工場を視察した。クネヴィチ軍飛行場とウラジオストク太平洋艦隊も視察した。2019年の初の訪ロで経済・外交関係者を多数同行させた金正恩氏は、今回の訪問では軍部関係者らを連れて行き、北朝鮮メディアはこれを公開した。さらに、北朝鮮の官営メディアは、金正恩氏のロシア訪問記録映画まで放映した。

北朝鮮とロシアは、今回の首脳会談の内容を徹底して非公開にした。ただし、北朝鮮の兵器支援は今回の訪問前からすでに行われていたようだ。北朝鮮からかなりの量の兵器が数ヵ月前にロシアに流れ、最近では両国は協定まで結び、本格的に兵器をやり取りしたことが確認された。

北朝鮮の兵器支援は、ウクライナ情勢を揺るがす。米国など国際社会の対朝・対ロ超強硬対応も呼び起こす可能性がある。ただ、韓国の立場では、北朝鮮がロシアから何かを受け取ることが懸念される。ロシアが少し協力すれば、北朝鮮は今年2回失敗した偵察衛星をすぐに実戦配備することができる。再突入や多弾頭など大陸間弾道ミサイル(ICBM)の核心技術を確保し、原子力潜水艦の建造時期も大幅に早めることができる。

ロシアが北朝鮮に兵器説明書を送った具体的な事情はまだ明らかにされていない。プーチン氏が大騒ぎして金正恩氏を招待しただけで、「砲弾を受け取ったお礼」は済んだという解釈もある。ロシア事情に詳しい当局者は、「偵察衛星に搭載するレンズ程度ならともかく、敏感な技術まで北朝鮮に簡単に渡すことはないだろう」と見通した。

それでも不安だ。ウクライナでの戦況が不利になり、砲弾一つが切実な状況になれば、プーチン氏が禁断の技術を提供する可能性は十分にある。北朝鮮で餓死者が続出しているが、金正恩氏は今回、ロシアの人道的支援の申し出を拒否した。軍事技術支援から受けようとする露骨な野心だ。

韓国政府の対ロシア関係の管理がこれまで以上に重要になった。米国など国際社会と連携して圧力をかけつつ、高官級チャンネルの稼働など独自の外交的アプローチのタイミングも計らなければならない。政府当局者は、「圧迫と管理の黄金バランスを見つけなければならない時」と話した。プーチン氏を放置しておくと、金正恩氏に金色の鍵を渡すシーンを目の当たりにすることになるかもしれないためだ。