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あふれる殺人予告、市民の不安・公権力浪費を招く重大犯罪だ

あふれる殺人予告、市民の不安・公権力浪費を招く重大犯罪だ

Posted August. 08, 2023 08:24,   

Updated August. 08, 2023 08:24

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ソウル新林(シンリム)駅と京畿道城南市(キョンギド・ソンナムシ)のソヒョン駅で凶器暴動事件が起きた後、オンライン上に殺人を予告する書き込みがあふれている。モバイルチャットルームに「特定人を殺害する」という文と共に、あらかじめ購入した凶器の写真を撮って掲載した30代の男が拘束されるなど、先月21日の新林洞事件以来、殺人予告文を掲載して検挙された人が59人に達する。「仁川桂陽(インチョン・ケヤン)駅で20人を殺す」「エバーランドで目に見える人々を皆殺しする」等、具体的で不気味な文がソーシャルメディア(SNS)等を通じて拡散している。

市民たちは、「いつ何が起こるか分からないので、外に出るのが怖い」と訴える。不安からスプレーや三段棒などの護身用具を求める人も多い。警察がソウル江南(カンナム)駅と蚕室(チャムシル)駅、城南ソヒョン駅などに装甲車を配置し、重武装した警察特殊部隊を投入して戦時を彷彿させるシーンが、ソウルの真ん中で繰り広げられている。市民の神経が尖っているため、地下鉄で「刃物で刺された」という誤認通報に乗客が緊急避難してけがをすることもあった。社会的損失が雪だるま式に大きくなっている。

このようなことが起きるのは、韓国社会に蔓延した怒りと剥奪感が投影された結果だと専門家たちは指摘する。貧富の格差、就職難と入試難、心理的孤立感などで累積した不満が凶器暴動事件を機に爆発しているという。特に、雰囲気に流されやすい若年層が、殺人を予告する掲示物をアップロードすることが多い。警察に捕まった被疑者のうち、10代が半分以上を占めるほどだ。彼らの大半は、「関心を引くためだった」「冗談でそうした」というとんでもない言い訳を並べ立てている。

殺人予告は市民の安全を脅かし、公権力の浪費をもたらす深刻な犯罪行為だ。検察と警察が拘束捜査を拡大し、法廷最高刑で処罰すると明らかにしたのもこのような理由からだろう。検察と警察は、犯行道具を購入して対象を特定する場合、殺人予備容疑を適用し、殺人予告文だけを掲載したとしても脅迫罪や公務執行妨害罪を適用するという。厳罰が有効であるかはわからないが、このような書き込みを掲載すれば、必ず検挙され処罰されるという認識が確固たるものになってこそ、無分別な模倣犯罪を減らすことができるだろう。

より重要なことは、時限爆弾に他ならない一人ぼっちが臨界点を越えないように社会のセイフティネットを厚くし、連帯感を強化しようとする努力だ。まだ判断力が成熟していない児童生徒たちを対象に、殺人予告のような文を書くことがどれほど危険なことかを教育する必要もある。政府はもちろん、学校や家庭など社会全体が積極的に乗り出さなければならない。そうしてこそ、「無差別的」犯罪と殺人予告が伝染病のように広がっていくことを防ぐことができる。