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破局後の韓日外交を考える

Posted August. 19, 2020 08:27,   

Updated August. 19, 2020 08:27

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日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」75年式典での演説で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は日本にハード、ソフトを織り交ぜたメッセージを投じた。個人の「不法行為の賠償請求権」は消滅していないという韓国大法院(最高裁)の判決を指摘し、「韓国政府はいつでも日本政府と向き合う準備ができている」とも述べた。そのうえ、「政府は司法府の判決を尊重し、被害者が同意できる円満な解決策」について日本政府と協議する用意があると明らかにした。

しかし、元徴用工問題の解決は容易ではない。韓国政府は「三権分立」を掲げ、行政府が司法府に介入しないということを正当化したが、日本政府は、韓国司法府と行政府が連携して韓日請求権協定を否定することを警戒してきた。韓日請求権協定という「1965年体制」の核心の部分が侵害されたと考えれば、駐韓日本大使の召還を含め、あらゆる対抗手段(報復措置)を取るだろう。こうなれば、韓国側も対抗措置を取り、韓日関係は最悪の状態に陥る。

 

元徴用工問題は、司法問題に争点化され、解決が非常に難しくなった。そのうえ、日本政府はこれを輸出管理問題と政治的に結びつけて反撃した。二重に絡まり、現在、交渉そのものが事実上、不可能になった。韓日両国のどちらか一方が大幅に譲歩する解決策はありえないので、双方が一歩後退し、知恵や便法を見出す道しかない。

北東アジアを中心に破局後の外交を考えてみよう。事態の深刻さを再び認識できるだろう。

まず、韓日外交の破局は、米大統領選後、すなわち世界政治の再編期に進行する。換言すれば、韓日は共通の戦略も外交政策もなく、新しい時代に個別に対応しなくてはならない。いや、むしろ互いが相手の足を引っ張るかもしれない。

韓日両国が直面するのは、米中対立が「体制競争」に変わる深刻な事態だ。トランプ米大統領が再選しようが、民主党のバイデン候補が当選しようが、その方向は変わらないだろう。米ソ冷戦のような軍事的覇権闘争ではなくても、技術や市場など戦略部門で米中分離が進行し、同盟国は両国のどちらかを選択するよう迫られるだろう。

その兆候はすでに情報技術(IT)先端分野で具体化した。今月13日、トランプ政権は中国の通信大手、華為技術(ファーウェイ)やZTEなどの製品やサービスを利用する企業を米政府機関の取引禁止リストに含めた。同盟国にも中国のIT機器やサービスを禁止させようとしている。中国は、韓国と台湾から半導体輸入を急激に増やしている。この分野が最初の戦場になる可能性があるため、韓国企業も事態の深刻性を十分に認識しているだろう。

文政府が深い関心を持っている米朝交渉や南北対話も順調に進展すると見ることはできない。北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長の最近の談話から分かるように、北朝鮮は1、2回の米朝首脳会談が成功したと見ていない。つまり、トランプ大統領が再選しても、事前に「米国の重大な態度変化(段階的非核化容認」を確認した後でなければ、次の首脳会談を開催することはできない。会談を強行してまた失敗すれば、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長の威信は回復できないほど失墜するだろう。

 

バイデン氏が大統領に選ばれれば、当然、北朝鮮政策の全面的な見直しが図られるだろう。オバマ前政権時の「戦略的忍耐」に回帰しなくても、北朝鮮に対する関与政策が注意深く変わると見なければならない。そうなると北朝鮮側の交渉意欲も弱まるだろう。米朝関係に進展がなければ、北朝鮮は南北対話の意欲を失い、対中国依存を増やすことを選択するかもしれない。

 

文氏が最大限、北朝鮮に対して融和を図っても、正恩氏は自力更正を堅持し、経済的な対南依存を最小化しようとするだろう。長期的に見ると、経済的な対南依存こそ北朝鮮が最も警戒する事態だからだ。韓国が中国を通じて北朝鮮政策を模索することもできるが、先に述べた米中分離問題に触れ、米国を大いに刺激するだろう。

 

韓国と日本は基本的な目標と利益を共有する先進「ミドルパワー」だ。米中対立を前提とすれば、この間にある両国が外交戦略を共有することは当然だ。歴史認識、民族主義、リーダーシップの対立があっても、これを最小限に抑えなければならない。11月を目標に推進されている日中韓首脳会議(韓国開催)が最後の機会になるかも知れない。