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「慰安婦合意」憲法訴訟却下、外交合意を巡る議論は慎重でなければ

「慰安婦合意」憲法訴訟却下、外交合意を巡る議論は慎重でなければ

Posted December. 28, 2019 08:04,   

Updated December. 28, 2019 08:04

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憲法裁判所は27日、2015年の朴槿恵(パク・クンヘ)政府の慰安婦合意が違憲だと主張する憲法訴訟を却下した。民主化のための弁護士の会(民弁)は、元慰安婦らと遺族を代理して、韓日慰安婦合意の内容のうち「最終的で不可逆的な解決」という表現などを問題視し、基本権の侵害だとして憲法訴訟を起こした。外交部は「慰安婦合意は法的効力を持つ条約ではなく、外交合意にすぎないため、国家機関の公権力行使と見ることはできない」とし、憲法裁は外交部の主張を認めた。

15年当時、朴政府は、元慰安婦に対する日本政府の責任を認め、韓国政府が設立する元慰安婦支援財団に日本政府が10億円(約100億ウォン)を拠出する内容の合意を日本政府と結んだ。しかし、文在寅(ムン・ジェイン)政府は合意を認めず、財団を昨年解散した。その一方で、合意そのものを公式に無効にすることはなかった。日本は合意を守るよう求めている。

27日の憲法裁の決定は、外交合意に対して司法機関が介入を自制したという点で意味がある。ただし憲法裁は、「慰安婦合意は韓日両国の外交協議の過程での政治的合意」とし、「合意で元慰安婦の賠償請求権が処分されたとか韓国政府の外交的保護権限が消滅したと見ることはできない」と判断した。法的効力は憲法裁が判断したとおりだ。しかし、条約で締結する外交合意があり、条約で締結しないのが適切な外交合意がある。憲法裁が、条約でないすべての外交合意を単純に政治的合意に格下げしてしまえば、今後どこの国が韓国と誠実な外交協議をしようとするだろうか。

朴政府が15年に日本政府と慰安婦合意を急いだきかっけとなったのは、11年の憲法裁の決定だった。当時、憲法裁は、韓国政府が日本政府と慰安婦問題を解決しないのは政府が当然しなければならない義務を果たしていない行政不作為だと指摘し、違憲決定を下した。憲法裁の決定により、朴政府は慰安婦合意を急ぐことになり、その結果、拙劣な合意が結ばれた。たとえ賠償を受けることができなくても、謝罪を優先すべきだったのに、憲法裁の決定が政府の外交的余地をかえって狭めた。27日の憲法裁の決定が外交の特殊性を振り返る契機になることを望む。