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「韓米合同作戦範囲の拡大を」米が追加請求

「韓米合同作戦範囲の拡大を」米が追加請求

Posted October. 30, 2019 08:17,   

Updated October. 30, 2019 08:17

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米国が、戦時作戦統制権の返還後に韓米同盟の次元で対応する危機事態の範囲を拡大することを提案し、韓米軍当局が議論に着手した。在韓米軍駐留経費負担の大幅引き上げ要求に続き、紛争地域の兵士派遣など韓国がより多くの同盟責任を負うことを求めるトランプ米大統領の外交的圧力ではないかという観測が流れている。

29日、軍消息筋によると、韓米軍当局は最近、戦作権返還後に備えた「韓米同盟危機管理覚書」を改正する協議を進めている。この覚書は、同盟危機事態が発生した際の合同対応およびそれぞれの役割を規定した文書(対外秘)だ。この文書で、韓米が合同で対応しなければならない危機管理の範囲が「韓半島の有事」と明示されたという。しかし、米国がこれを「韓半島の有事および米国の有事」に修正しようと韓国に提案したということだ。

これを受け、韓半島だけでなく米国が軍事介入した他地域に韓米合同の軍事対応の範囲を拡大しようとするのではないかという分析が出ている。例えば、ホルムズ海峡をはじめとする中東地域や南シナ海などの米国の核心的な軍事作戦地域に対する韓国軍の派遣など軍事支援および協力の根拠を設ける狙いがあるということだ。軍消息筋は、「韓国と直接的な関係のない紛争地域で米国が危機事態を宣言したり脅威を受けると判断した場合、同盟として韓国に軍事支援をするよう『義務づけ』ようというメッセージと解釈される素地がある」と指摘した。

米国が韓米相互防衛条約(1953年10月1日締結)に基づいて韓国の責任と義務を現実化しようとしているという見方もある。韓米相互防衛条約は一方の国が攻撃によって脅威を受けた場合に自国への脅威と見なし、憲法的手続きによって共同対応するというのが骨子だ。しかし、この条約が「韓国のための防衛条約」に相違なく、条約の履行で米国に責任が転嫁されたとトランプ氏が判断した可能性があるということだ。

このため、在韓米軍駐留経費負担の大幅増額要求に続き、戦作権返還を機に韓国により多くの同盟責任を求めるトランプ氏の「請求書」と見えるべきだという主張もある。別の軍消息筋は、「米国が戦作権を韓国に返還すれば、対中国牽制などの域内問題はもとよりグローバルな紛争と危機管理により積極的に介入する可能性が生まれる」とし、「この過程で韓国など同盟国の軍事的協力を最大限引き出そうとするだろう」と指摘した。

韓国は、米国の提案に難色を示したという。国防部の崔賢洙(チェ・ヒョンス)報道官も同日、定例会見で、「戦作権返還後、米国が危機だと判断する紛争地域に韓国軍を送る状況が発生する可能性があるということは事実ではない」と明らかにした。武力攻撃の対応範囲が「太平洋地域」に限定された韓米相互防衛条約の規定と米国の危機事態拡大の主張は相反するという指摘も出ている。

にもかかわらず、米国が戦作権の返還と駐留経費負担を条件に要求を貫徹しようとする場合、さらなる同盟葛藤に飛び火することも否定できない。軍関係者は、「まだ実務次元での協議が初期段階で、長時間の緊密な議論を経て決定される事案」とし、「現在のところ米国の意見どおり確定するかどうか分からない」と話した。


尹相虎 ysh1005@donga.com