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私たちが逃している宝

Posted December. 05, 2022 08:57,   

Updated December. 05, 2022 08:57

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「ちょっと待って!今、あなたは何かを逃した。あなたは現在、周囲で起こる事のほとんどを見逃している。あなたの体の中で、とても遠くから、または目と鼻の先で起こる出来事までもだ。私たちは見ているが、ちゃんと見ることができない」(―アレクサンドラ・ホロウィッツ『ON LOOKING』)

ニューヨーク・タイムズのベストセラー『犬から見た世界~その目で耳で鼻で感じていること』の作家でもある著者は、ニューヨークで暮らし、家の前の道を様々な人と散歩した話を聞かせてくれる。彼女と散歩した地質学者、タイポグラファー、イラストレーター、昆虫学者、野生動物研究家、都市社会学者、医師、そして視覚障害者は、特徴のない日常的な街でそれぞれまったく異なる世界を見て歩く方法を教えてくれる。

地質学者は、建物や通りの仕上げ石材から古生代の岩石を発見し、地球生成プロセスを考える。タイポグラファーは多くの看板に使われた書体やデザインに興味を示す。一方、昆虫学者は歩行路の一方の芝生で発見した生物から環境汚染や天候の変化を読み取る。野生動物研究家は、セントラルパークの生態系、医師は公衆衛生を話す。

おかげで景福宮の隣の西村を歩く私の散歩も豊かになった。今では、サンショウウオとロブスター、そして蝉を時期に合わせて観察できるようになった。1950年代からこれまで時期別の建築材料の変化と作業者の熟練度を区別し、独自の建築博物館地図を描くことができるようになった。10年以上散歩した道は、毎回新しく興味深い日常の宝庫と化した。

通勤は退屈で家の前は面倒だと思うかもしれないが、今日だけはイヤホンと携帯電話を鞄に入れて五感に集中し、ゆっくり歩いてみよう。自分だけの視線でほんとうに馴染みのある風景を見てみると、帰り道がこれまでとは違って見えるだろう。愛する家族の声に耳を傾け、顔の表情一つ一つを見てみよう。大切な宝物は、まさに私たちの前にある。