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無名のコメディアンが故郷に帰って暴力団ボスになった、映画「カムバックホーム」

無名のコメディアンが故郷に帰って暴力団ボスになった、映画「カムバックホーム」

Posted October. 05, 2022 08:59,   

Updated October. 05, 2022 08:59

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「もう二度と来るもんか」

嫌気がさして去った故郷に帰ってきた。なんと16年ぶりのことだ。キセ(ソン・セビョク)は高校卒業後、上京して夢見ていた公開採用のコメディアン試験に一気に合格した。しかし、喜びもつかの間、7年間以上も無名のコメディアンとして放送局をさまよう羽目になる。苦労の末にコントの主人公になるチャンスを得たが、よりによってその時コメディ番組が廃止される。弱り目にたたり目で、家賃が払えず屋上部屋から追い出され、忠清道(チュンチョンド)の最大の組織暴力団「八龍会」を率いた父親(李璟榮)が突然この世を去る。仕方なく帰ってきた故郷で、キセは父親に次いで、「八龍会」の会長になる。幼い頃、キセがおじさんと呼んで従った組織ナンバー2のカンドン(李凡秀)が、彼に「雇われ会長」を引き受けてくれれば巨額を与えると提案し、これを受け入れたのだ。

5日公開した「カムバックホーム」は、ソン・セビョク、李凡秀(イ・ボムス)、ラ・ミランの韓国代表コメディ俳優3人が同時に出演して話題を集めたコメディ映画。タイトル通り、主人公が故郷に帰ってきた後に繰り広げられる話を扱う。キセが、父親を殺害した人が誰かを探していく話が柱となっている。

笑いの立役者は、断然ソン・セビョク。彼は終始真剣な姿で演技をしないような生活演技を披露するが、この姿が上映時間中、観客を笑わせる。真剣さに悔しさ、つまらなさを加えて作り出したソン・セビョクならではのコミック演技が光を放った。最近、ソウル鍾路区(チョンノグ)のカフェで会った彼は、「コメディー映画だからといって、笑わせようと努力すればシーンが面白くない。ただ、その都度、シーンに集中しようと努力している」と話した。

キセの初恋のヨンシム役のラ・ミランは、現在上映中の別のコメディ映画「正直な候補2」で引き受けた江原道(カンウォンド)知事チュ・サンスクと180度違う生活演技で観客を笑わせる。李凡秀は隙がありそうだが、実は残忍極まりない悪役として熱演した。彼は最近のインタビューで、「悪役は、合法的に悪いことをすることができて魅力的だ」と笑った。

無名のコメディアンが故郷に帰ってきて、暴力団のボスになるという設定は斬新だ。一方、暴力団映画のありきたりな枠組みから抜け出せないという先入観は、観客が映画館に向かう上でネックとして働く。ソン・セビョクは、「『カムバックホーム』で話そうとするのは、故郷と父親に関する話で、暴力団はその話のための装置に過ぎない。常套的な流れだったら、映画出演について悩んだだろう」と話した。

映画は、キセが16年ぶりに故郷の友人たちと言い争い、友情を築いていく姿も重点的に見せてくれる。イン・ギョジンやイ・ジュンオク、オ・デファン、ファン・ジェヨルの友人4人組で出演する俳優たちは、長年の友人のような呼吸を見せてくれる。彼らの友人を中心にした俳優たちが、忠清道の方言をうまく生かしたおかげで、いくつかのシーンは台詞を聞いただけでも笑いが爆発する。

この映画の美徳は、無理に笑わせようとしないのに笑わせること。故郷の友達に会いに、すべてのことをさておいて故郷に帰りたくなるのは、この映画の長所であり短所だ。


孫孝珠 hjson@donga.com