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「東洋人の女性指揮者?ステージに上がったら曲のことだけを考える」

「東洋人の女性指揮者?ステージに上がったら曲のことだけを考える」

Posted June. 29, 2022 09:07,   

Updated June. 29, 2022 09:07

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「今年下半期から、サンフランシスコオペラ100周年シーズンが始まり、忙しくなります。ちょうど数日間の日程が空いていたのですが、良い提案が来て、親にも会うことを兼ねて嬉しく準備しています」

99年の歴史を持つ米サンフランシスコオペラ(SFO)の音楽監督に昨年8月に就任した指揮者のキム・ウンソン(42)氏が、故国の舞台に立つ。氏は7月21日と22日、ソウルロッテコンサートホールで開かれるソウル市立交響楽団「キム・ウンソンのドヴォルザークの新世界交響曲」のコンサートを指揮する。

氏は28日、オンラインで開かれた記者懇談会で、「11年前に統営(トンヨン)でベースのヨン・グァンチョルの独唱会の伴奏を指揮したことがあるが、プロ指揮者としての韓国国内での舞台は今回が初めてだ」と明らかにした。

キム・ウンソンは昨年11月と12月に、世界オペラ界の夢の舞台と呼ばれるニューヨーク・メトロポリタン・オペラで、プッチーニ「ラボエム」を客員指揮した経緯がある。ニューヨークタイムズ(NYT)評論家のアンソニー・トマジーニは、「プッチーニの楽譜が、このように新鮮に演奏されたのは実に久しぶりだ」と絶賛し、キム・ウンソンは、12月にNYTから「今年の文化界の新星」のクラシック部門に選ばれた。

氏は、「延世(ヨンセ)大学作曲科に在学し、『ラボエム』のリハーサルピアニストを引き受けた時、チェ・スンハン教授から『指揮をしてみろ』と勧められたのが指揮者になった契機だった」と振り返った。氏は、来シーズンにイタリア最高の名門オペラ劇場であるミラノのラ・スカラにも、「ラボエム」でデビューすると耳打ちした。

今回指揮するドヴォルザーク交響曲第9番「新世界で」について、キム氏は「韓国の音楽家は、特にスラブの情緒がよく合うと思う。サンフランシスコオペラを初めて指揮した曲が、ドヴォルザークのオペラ『ルサルカ』だったが、チェコ語まで勉強しながら一所懸命に準備した。故国でドヴォルザークを指揮してみたかった」と話した。

7月のソウル市響の演奏会では、「新世界で」の他に、キム・テクスの創作曲「スピン-フリップ」、ルトスワフスキのチェロ協奏曲第1番(スイスのチェリスト、クリスティアン・ポルテラと共演)を演奏する。ルトスワフスキの協奏曲は、6月にチェリストのチェ・ハヨンがベルギーのエリザベート王妃国際音楽コンクールの決選で演奏して優勝した曲だ。キム・テクスの曲について、キム氏は「作曲家が、自身と同名の卓球選手からインスピレーションを得て、卓球競技を描写した曲だ。理解しやすく面白い」と紹介した。

氏は、「指揮する時は、自分より曲のことを考えるので、東洋人の女性として映るという事実を忘れる」と話した。

「女性だという事実を実感する時は、ファンに会う時です。若い女性たちから、『あなたが指揮台に立っているだけで、インスピレーションを受ける』と言われます。シンシナティ交響楽団を指揮しに行った時、その公演を最後に引退する女性のビオラ団員から『一生女性指揮者に会うとは思わなかった』と言われました」

氏は、今秋始まるサンフランシスコオペラ創立100周年のシーズンで、ジョン・アダムスが作曲した世界初演のオペラ「アントニーとクレオパトラ」等を指揮すると明らかにした。氏は、「毎年、ワーグナー・オペラ一曲、ヴェルディ・オペラ一曲、広く演奏されるオペラ一曲、同時代のオペラ一曲と、確固たるレパートリーを積み上げていく」と付け加えた。


ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com