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ネットフリックス映画「楽園の夜」のオム・テグ、「自分の中に共存する善と悪を引っ張り出す」

ネットフリックス映画「楽園の夜」のオム・テグ、「自分の中に共存する善と悪を引っ張り出す」

Posted April. 16, 2021 08:18,   

Updated April. 16, 2021 08:18

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ネットフリックスの映画「楽園の夜」のタイトルに込められた意味は矛盾している。楽園は美しいが、夜は見えない。自分が楽園にいるかさえ知る術がない。美しいが美しくないという皮肉さが隠れている。このような矛盾は、ストーリーとも通じる。撮影が行われた済州島(チェジュド)の風景はまぶしく美しいが、その裏には崖っぷちに立たされたパク・テグ(オム・テグ)やキム・ジェヨン(チョン・ヨビン)の悲しい痛みが隠れている。犯罪組職に属したテグは、病気の姉と幼い甥を事故に偽装して殺した者に復讐後、済州島に逃れる。ここで家族を失い、武器商の叔父と一緒に暮らす余命少ない患者のジェヨンに出会う。

この映画の矛盾は、主演のオム・テグ(38)にも似ている。前作「チャイナタウン」のウゴン、「密偵」の橋本に続き、今回の映画まで刺しても一滴の血も出ないような冷血漢を完璧にこなしたが、カメラの外の姿は小心そのものだ。彼にはこのような修飾語が付く。「うち向きのギャング」 「はにかむヴィラン」。14日に会った氏は、「自分の中にいろいろな自分がいるようだ」と口を開いた。

「幼い頃、家族とぴょんぴょん走り回って遊ぶ姿、友達とふざける姿、その他見えていない姿まで多様な自我が存在するようだ。自分の中に善悪が共存しているが、これを引き出せる唯一の空間が撮影現場だ。現場でそんなことをしているようだ」。

今回の作品は、前作「新世界」を演出したパク・フンジョン監督のノワールカムバックで注目を集めた。商業映画で初主演を演じたオム・テグは、負担もあったが、「パク・フンジョン流のノワール」に欲が出たという。もともとやせた体型の彼は、「肉付きの良い暴力団のような感じを生かせ」という監督の指示を受け、9キロを増やした。

「新世界を見たときの衝撃がまだ忘れられない。楽園の夜は、正統ノワールの構造を持ちながらも、ジェヨンというキャラクターが入ってくることで新しさが加わった、今まで見られなかったノワールへの欲が湧いた」。

2005年に映画「親切なクムジャさん」で端役でデビューして、16年目の俳優になった。しかし、恥ずかしがり屋な性格のため、俳優をやめるべきか真剣に悩んだという。

「これまで俳優生活をしたのが奇跡だ。諦めたくなる瞬間が本当に多かった。かなり緊張する方なので、毎瞬間恐怖と震える気持ちで撮影を準備するからだ。それでも過去の作品より少しずつよくなっているのが見えるので、耐える力になる。ひたすら演技に集中したので、これのほかに特技もない」 磨き続けてみようという考えで耐えてきて、今まで来た」。

彼はじっとしているシーンでも、ひたすらあのキャラクターでいたと感じる瞬間が、自分には「楽園」だと言った。

「ある場所としての楽園は存在しないようだ。今この上なくよいと感じる刹那がある。苦労して準備したシーンを撮った瞬間、苦労しただけの生きた演技を終えた後、車に乗った時。安堵のその短い瞬間が楽園のようだ」


金哉希 jetti@donga.com