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DMZに響く平和と生命のハーモニー

Posted August. 15, 2020 08:55,   

Updated August. 15, 2020 08:55

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「自然の中で鳴り響くクラシック旋律の美しさをお楽しみください」

「平和の5郡」と呼ばれる江原道(カンウォンド)の5つの非武装地帯(DMZ)の国境地域で開催される「PLZ(Peace&Life Zone)ミュージックフェスティバル」がそうだ。高城(コソン)、麟蹄(インジェ)、楊口(ヤング)、華川(ファチョン)、鉄原(チョルウォン)一帯で9月から11月まで開催される今回の行事は、音楽を聴きながら分断と生態保全という私たちの時代の命題について真剣に考える機会と言える。

開幕式は先月25日、韓国最北端に位置しており、新羅時代に建てられた高城郡の「金剛山乾鳳寺(クムガンサン・コンボンサ)」で開かれた。この日は強い雨がとめどなく降った。楽器は雨に当たるといけないので、楼閣に演奏会場を設けて、ピアノ、バイオリン、ハーモニカなどの演奏が繰り広げられた。当時ピアノを演奏したイム・ミジョンPLZ芸術監督(韓世大学教授)は、「イベントを企画する立場から雨が降って心配したが、かえって観客たちは『雨音の中で音楽を聞いていると、まるで別の世界に来ているような気がする』と良い反応を見せた」と語った。

PLZフェスティバルは、今年は二回目だ。昨年、韓国初のラムサール湿地である麟蹄郡ヨン沼とネリン川、楊口郡パンチボールと朴壽根(パク・スグン)美術館などで開かれた。今年は規模を拡大して、江原道と麟蹄、高城、華川、鉄原郡まで加わった。公演などの様々なイベントも、今年は約30件に増やす予定だ。

PLZフェスティバルで楽しむことができる音楽はピアノ、バイオリンからクラリネット、ハーモニカ演奏まで様々である。声楽と国楽、タンゴ、オーケストラコンサートも用意される。イベント会場は美術館、展望台、街の花祭り会場はもちろん、小さな町の教会でも開かれる。各地域の歴史や環境、飾らない彼らならではの話を伝えることができる場所だ。PLZホームページで、自分が希望する日程に合わせて公演を選択できる。入場料は無料で、事前申し込みをしなければならない。

PLZフェスティバルの母体は、「一つのための音楽財団」という音楽の非政府組織(NGO)だ。1984年に東亜(トンア)コンクールで優勝したイム監督は、ジュリアード音楽院を卒業した才媛だ。ニューヨークを中心にピアノを演奏し、2000年代半ばに帰国して財団を作って活動してきた。アフリカで音楽を教え、平壌(ピョンヤン)を6回訪問して、モランボンクラシック専用公演会場で朝鮮国立交響楽団と共演した。氏は、北朝鮮のクラシック音楽について、「クラシックが発達した東欧と交流が多いので、予想外にレベルが高い」と評価した。

イム監督が、今年のイベントで最も愛着を持っているイベントは、来月19日に鐵原邑水道局地で行われるピアノ声楽弦楽四重奏だ。水道局地は、日本植民地時代には上水道供給源であり、韓国戦争当時、国軍の北進によって後退していた北朝鮮軍が反共産党関係者を集めて虐殺した心の痛い歴史の現場だ。イム監督は、「ここで慰めと癒しの音楽会が開かれるだろう」と伝えた。

ただ、新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)が長期化する状況の中、会場を直接訪れるのは容易ではない。このため、PLZ側は、ホームページとユーチューブなどに公演のハイライト映像を掲載する予定だ。イベントに参加するためには、事前申込者の確認から現場での距離置き、クリーン江原パスポートアプリを利用した問診票の作成まで、新型コロナ関連のルールを守ればいい。


鄭美京 mickey@donga.com