
空き家をコーヒー1杯よりも安い象徴的な価格で販売したり、かなりの補助金を支給して人口を呼び込む政策は、イタリア・ムッソメーリ以外の各地でも実施されている。差はあるものの、いずれも人口減少や消滅の危機に直面している地域だ。
イタリア南西部のサルデーニャ島も、人口3000人未満の小さな村に移住する人々に1万5000ユーロ(約2475万円)の補助金を支給する。この資金は、住宅購入および改修にのみ使用できる。また、住宅改修に多くの時間を要する点を考慮し、移住者には3か月間の家賃も免除される。イタリア北部の山間部の村トレンティーノでも、老朽化した住宅を購入する移住者に対し、8万ユーロ(約1億3250万円)に上る補助金を支給する。この補助金を受けた人は、10年間居住する義務がある。
イタリア周辺諸国でも、同様の政策を導入する自治体は少なくない。人口が2000人に満たない東欧クロアチアの小さな田舎町レグラードは、ハンガリーとの国境付近に位置し、放置された老朽住宅を1クーナ(約215円)で販売している。また、当該住宅の補修費用として最大2万5000クーナ(約537万円)を支援する。70年前と比べ人口がほぼ半減したことを受けた措置だ。その代わり、購入者はこの家に少なくとも15年以上居住する必要がある。老朽住宅でない一般住宅を購入する場合も、当局が購入額の最大20%を支援する。
人口約6500人のフランス南西部の小都市アンベールも、ムッソメーリの例のように地域内の老朽住宅を1ユーロ(約1650円)で販売する。スペイン北部の山村アンブロス・バレーでは、移住者に対し2年間で最大1万5000ユーロ(約2475万円)の補助金を提供する。
欧州以外でも、類似の政策を実施している自治体として日本が挙げられる。早くから超高齢社会に突入し、空き家が約900万戸に達する日本では、不動産を無償で販売するケースもある。売れ残った地方の不動産を無料で提供するもので、各種税金を考慮すると、不動産を保有している方が損になるという計算から生まれた発想だ。
日本の主要自治体は「アキヤバンク」(空き家バンク)という仲介プラットフォームも運営している。空き家の所有者と空き家を活用したい人とをつなぐ制度である。
キム・ボラ記者 purple@donga.com






