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韓国は24時間「配達中」

Posted June. 29, 2021 08:17,   

Updated June. 29, 2021 08:17

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今月22日午前11時。ソウル江南区駅三洞(カンナムグ・ヨクサムドン)にある161平方メートル規模のデリバリー専門店は、ホールが無く厨房設備だけで一杯だった。6人のシェフはあるスタートアップ企業に送るどんぶり類を作り、大型保温バッグに入れた。包装が終わると、待っていた配達員が素早くバックを持って出て行った。この店のキム・ハナ店長は「簡単に食事をし、プライベートで時間を過ごしたいという小規模企業からの注文が多く寄せられている」と話した。同じ時刻、ソウル蘆原区上渓洞(ノウォング・サンゲドン)の共有厨房に出店している13の飲食店も、殺到する注文電話のため慌ただしい様子だった。とある従業員は「新型コロナでホールでの営業ができないため、フランチャイズ加盟店も多く入っている」とし、「テイクアウトがたまにあるが、その大半は出前注文だ」と話した。

新型コロナで都心が時間を問わない「デリバリー激戦地」に変わっている。新韓(シンハン)カードによると、昨年の配達注文額は1兆3100億ウォンと、飲食業のオフライン売上高(1兆2900億ウォン)を初めて上回った。配達生態系である「D-エコノミー」が生活経済の一本柱として浮上している。

●日中時間帯と地方への配達エリアを拡大

京畿道果川(キョンギド・クァチョン)で麺類の店を営んでいるキム某氏(49)は、新型コロナでホールでの営業が厳しくなり、出前を始めた。伸びやすい麺の出前を取る人がいるだろうかと心配だったが、今は売り上げの30%が出前注文だ。氏は、「一時、ホール客が10人もおらず、公共料金すら支払えなかったほどだ」とし、「配達がなかったら耐えられなかったはず」と話した。

出前文化が日常化するにつれ、注文地域や時間帯にも変化が生じている。デリバリー代行1位のバロゴーによると、昼食ピーク時の午前10時〜午後1時の配達の割合は昨年は22.6%で、前年(19.5%)より3ポイントほど伸びた。一方、夕方ピーク時間だった午後5〜8時の配達の割合は2019年の45%から昨年は43.7%に減った。

地域別では、昨年のデリバリー注文件数の伸び率は蔚山(ウルサン、179%)、大邱(テグ、148%)、江原(カンウォン、131%)などの順で高かった。ソウル江南地域に偏っていたデリバリー文化も全国化したことになる。

出前注文が日常化し、配達で生計を立てる人も増えている。韓国労働研究院によると、昨年基準のプラットフォーム労働者は約22万人と、就業者全体の0.92%に上る。「ベミンコネクト」「クーパンフレックス」「GS我が町デリバリー」などの不定期配達まで合わせれば、全体従事者数はもっと多いとみられる。キム・ファジンさん(40、仁川西区)も新型コロナで工場の残業が減り、副業で月に4、5回ほどクーパンフレックスの仕事をする。業界では配達業界で働いている人の約4分の1は1カ月の収入が300万ウォン程度と試算している。中央(チュンアン)大学社会学科のイ・ビョンフン教授は、「他の仕事が大きく減った中、多くの人々が新興産業である配達業に参加し、新しい雇用領域になった」と話した。

●「速く、もっと速く」激しくなるスピード競争

配達において消費者らが望んだのは、味よりスピードだった。バイブの分析によると、昨年SNS上で消費者がデリバリーと関連して最も多く使用した感性語は「早い」で、前年より使用頻度が48.2%増えた。これは「美味しい」という表現の使用回数の伸び率(38.8%)を大きく上回るものだ。同徳(トンドク)女子大学経営学科のキム・イクソン教授は、「世界的にも類を見ない早朝配送などを巡る学習効果を基に、『迅速性』が普遍的競争力の要素になった」と話した。

食べ物から触発された早い配達は、消費財全般の「クイックコマース」へと進化している。週に3、4回出前を取る会社員のイム・ジョンミンさん(24、ソウル永登浦)は、ミ-ルキットや調理食品などを買う時も、一般のEコマース業者ではなく「配達の民族」のビーマートを利用する。ビーマートは二輪車の配送網を利用して、日常消費財7000件余りを30分以内に配達する。「クーパンイー」を始めた理由も、二輪車配送インフラを通じたクイックコマースへの進出のためという分析が出ている。都心に小規模店舗を構えているスーパーやコンビニなどのオフライン売り場も、相次いでクイックコマースに参入している。

専門家らは、新型コロナによる配送競争で、以前にはなかった便利な消費経験を提供しただけに、スピード競争はさらに激しくならざるを得ないと見ている。淑明(スクミョン)女子大学経営学部の徐鏞求(ソ・ヨング)教授は、「最終的にはEコマースとライブコマース、D2C(Direct to Consumer)などの新生非対面消費全体が、『クイックコマース』というニューノーマルに向かって進むだろう」と語った。