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「かれていた声が奇跡のように戻ってきて予期せぬ優勝」

「かれていた声が奇跡のように戻ってきて予期せぬ優勝」

Posted June. 21, 2021 08:16,   

Updated June. 21, 2021 08:16

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「最終決戦を控えて喉の調子がひどくなり、ほとんど諦めました。ところが、奇跡のように喉が戻ってきました。10日間、何度も挫折と歓喜を行き来しました」

バリトンのキム・ギフン(29)が、19日(現地時間)閉幕した英BBCカーディフ国際声楽コンクールで、韓国人としては初めてメイン部門(Main Prize)で優勝した。カーディフ・コンクールは1989年、メイン部門でドミトリー・フヴォロストフスキー、歌曲部門(Song Prize)でブリン・ターフェルという不世出のバリトンを輩出し、最高権威の声楽コンクールの一つに位置づけられた。韓国人としては1999年にバリトンのノ・デサン、2015年はベースのパク・ジョンミンが歌曲部門で1位となり、オペラを競うメイン部門の優勝はキム・ギフンが初めてだ。

15カ国から16人が決勝に進んだ今年のコンクールでは、1回目の決勝ではキム・ギフンが引き出した「涙」が大きな話題となった。彼がコルンゴルトのオペラ「死の都」の中で、「私の懐かしさ、私の妄想よ」を歌っている間、深刻な表情で聞いていた審査委員ロバータ・アレクサンダー(ソプラノ)が涙を流し始めた。このシーンはBBCテレビを通じて、英全域に放送された。

「このときは結果がいいだろうと思いました。それから喉が急にかれてから何とか戻ってきたのですが、最終決戦でロッシーニの『セビリアの理髪師』の中の『私は街の何でも屋』を歌いそこないました。受賞はあまり期待していなかったのですが、私の名前が呼ばれました」

彼は5年前に、東亜(トンア)日報主催の「LGとともに歩むソウル国際音楽コンクール」で優勝したことを思い出したという。テノールのキム・ゴンウ(当時2位)があまりにも上手だったため、最後まで気を揉んだだけに喜びはさらに大きかった。その後、2019のチャイコフスキーコンクール2位とプラシド・ドミンゴ主催のオペラリアコンクール2位を相次いで受賞した。キャリアが盛んに進む時点で新型コロナウイルス禍で足止めされたが、今季はポーランド・ワルシャワオペラとドイツ・ミュンヘン州立オペラでプッチーニの「ラボエム」、米サンディエゴオペラでモーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」出演などが予定されている。

彼は7月8日、京畿道城南市(キョンギド・ソンナムシ)のティエルアイアートセンターで独唱会を開く。プログラムの大半は、カーディフコンクールで熱唱した歌で構成されている。審査委員の涙を引き出した「死の都」のアリアとワーグナーの「タンホイザー」のうち「夕星の歌」、カーディフコンクール歌曲部門の競演で歌ったキム・ドンファンの「恋しい心」をはじめ、11曲を盛り込んでいる。ミラノ・スカラ座の伴奏者として活動した声楽専門ピアニスト・チョン・テヤンが伴奏を引き受ける。4万ウォン。お問い合わせは031-779-1500まで。


ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com