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名残惜しいが「ポストビーガン」が必要な時

名残惜しいが「ポストビーガン」が必要な時

Posted December. 15, 2020 09:19,   

Updated December. 15, 2020 09:19

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「厳密に言えば、ビーガン米国務副長官は韓国政府にそれほど大きな贈り物を持ってきたことはない。しかし、今後ビーガン氏ほど韓国政府の立場をよく理解してくれる米政権高官が出てくるだろうか」

先週、米国務省の北朝鮮政策特別代表の資格で最後の訪韓を終え、米国に戻ったビーガン氏に対して、外交部当局者はこう語り名残を惜しんだ。実際、ビーガン氏が北朝鮮政策特別代表を務めて北朝鮮と核協議に入ったこの約2年間、政府が期待した米国の「熱い」先制的な譲歩はなかった。

にもかかわらずビーガン氏は、「韓国は主権国家」として政府の立場を最大限理解する態度で韓米間協議に臨んだという。それゆえ協議のためにビーガン氏に会いに行く政府当局者は、「ビーガン氏はひとまず話を聞いてくれるので、面前で顔を赤くすることはないだろう」と安堵して米国行きの飛行機に乗ることができたと、当局者は伝えた。外交当局の立場では、米国務省ナンバー2人にまでなったビーガン氏の存在そのものを外交資産と感じるだけのことはあった。

ビーガン氏は、韓国に対する個人的な関心も大きかった。「ビーガン」といえば「タッカンマリ」が思い浮かぶほど、訪韓のたびに好んで食べた。ビーガン氏は韓国の歴史にも興味を示した。北朝鮮政策特別代表に任命された頃、韓国を訪れた際、高宗(コジョン)の御車を見たいと言って国立古宮博物館を訪れ、高麗時代の王の名前を覚えていたというから、政府としては歓迎する人物だったのだ。

ビーガン氏の訪韓の間、外交安保当局者が総出動したのには、このような思いがあったのだろう。ビーガン氏は、韓国での3日間、毎日当局者らと夕食を共にした。新型コロナウイルスの感染拡大で、団体で夕食を楽しむこと自体が議論になるにもかかわらず、外交部がビーガン氏の行きつけのソウル鍾路区(チョンロク)のタッカンマリ店を貸し切ったのは破格の対応だった。しかし、韓国政府は名残惜しさを後にして、原則的な対北朝鮮外交政策を堅持する「バイデン時代」に誰が北朝鮮核問題の交渉を担うのか神経を尖らせなければならない。ビーガン氏のように「どんな話でもひとまず聞いてみよう」と好意的な人物が現れる可能性は高くないためだ。バイデン政権は韓米同盟を重視するが、核問題や人権問題など北朝鮮政策では徹底して原則的だ。

専門家たちは、ビーガン氏の退場を、韓国政府がビーガン氏の「韓国尊重」に依存して現実化の可能性が高くない「恥ずべき」提案をし、十分な結果を得ることができなかったパターンを破る「戦略の大転換」の機会にしなければならないと指摘した。この機に、韓米が共感して、北朝鮮の非核化に向けて推進できる冷静で合理的な戦略を議論することが、韓国政府が追求しなければならない生産的な「ポストビーガン」時代の対策になるだろう。


韓基渽 record@donga.com