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「制作費を回収しよう」韓国映画の期待作が相次いでネットフリックスへ

「制作費を回収しよう」韓国映画の期待作が相次いでネットフリックスへ

Posted December. 03, 2020 08:49,   

Updated December. 03, 2020 08:49

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映画館に行っても、100%損益分岐点は越えないですからね。

先月20日、映画投資配給会社・メリークリスマスが、今年の最大期待作だったSFブロックバスター「勝利(スンリ)号」の劇場公開をあきらめ、ネットフリックスに直行することについて、映画会社の代表Aさんはこのように話した。新型コロナウイルス感染症の影響で映画館の観客数が連日下落している中、映画館での公開は危険な選択になったという。さらに最近、「新型コロナ」の第3次大流行により席を空けて座ることが再開され、劇場の半分しか使えず、劇場封切りは「ギャンブル」と同じだという話だ。Aさんは、「制作会社と投資配給会社が公開の遅れで数十億ウォン、数百億ウォンが縛られており、資金循環ができない状況で、ネットフリックスを通じて制作費を回収すれば息抜きできる」とため息をついた。

「番人」を作ったユン・ソンヒョン監督の初の商業映画デビュー作として注目を集めた「狩りの時間」をはじめ、先月27日に公開された「コール」、来年1月に公開される「車仁杓(チャ・インピョ)」までもがネットフリックスに行った。パク・フンジョン監督の『楽園の夜』も、ネットフリックスでの公開について議論している。

映画がネットフリックスに向かう最大の理由は、制作費回収のためだ。勝利号のP&A(広報)費用を含めた総製作費は240億ウォン。観客580万人を集めてこそ、損益分岐点を超えることができる。業界関係者らの言葉を総合すれば、メリークリスマスはネットフリックスから制作費に加えて、数十億ウォンを追加で受け取ったという。P&Aのコストを含め、制作費115億ウォンをかけて作った「狩りの時間」も同様に、ネットフリックスと120億ウォンで取引された。業界では、「狩りの時間が劇場に行ったら、310万人の損益分岐点は絶対に超えることができなかったはずだ」と予想した。

映画界では、「新型コロナ」の中での観客数を、普段の3分の1の水準とみている。今、勝利号が580万人を超えるためには、普段1700万人が見る水準で映画がヒットしなければならないということだ。

勝利号は、映画公開後、スピンオフ映画、ウェブ漫画、ドラマなどへの知的財産(IP)の拡張を計画していた。勝利号の公開が延期されるほど、これらの作品も製作が遅れて損害が大きくなる状況も考慮された。メリークリスマス関係者は、「勝利号は、映画公開後の観客反応を見て、キャラクター別の前史を盛り込んだスピンオフコンテンツも計画していた。映画公開が遅れたことで、該当作品の企画開発も止まった」と話した。

映画館を持っている投資配給会社も、封切り作が次々と遅れる事態を防ぐために、ネットフリックスを選んだ。車仁杓主演の映画「車仁杓」は、ロッテカルチャーワークスの投資や配給で劇場公開の予定だったが、ネットフリックスへと直行した。大型マルチプレックスであるロッテシネマを保有している投資配給会社の映画が、ネットフリックスに行った初事例と言える。ロッテカルチャーワークスが今年公開する予定だった「モガディッシュ」と「ボストン1947」は、来年に延期された。1600万人の観客を動員した「極限職業」に続き、車仁杓を制作したアバウトフィルムのキム・ソンファン代表は、「独特なジャンルの映画なので、観客が来ないのではないかという懸念もあった。ネットフリックスを通じて190カ国の視聴者に公開されるという点も考慮した」と伝えた。

しかし、映画界では、このような状況が続くことになれば、ネットフリックスが徐々に安価で、韓国作品を購入することもありうるという懸念もある。とあるドラマ制作会社の代表は、「勝利号は宋仲基(ソン・ジュンギ)が出演するため、新規加入者を誘致する可能性が高く、ネットフリックスが巨額の追加金を出して買ったはずだ」とし、「新型コロナの状況が続き、映画が猫も杓子もネットフリックスに行こうとすれば、ネットフリックスが制作費のみ支払おうとする可能性もある」と語った。

また、ネットフリックスは、再生件数が爆発しても制作会社に「ランニングギャランティ」を追加で支給しないので、いわば「大儲け」を夢見ることができなくなることもある。


金哉希 jetti@donga.com