Go to contents

菅政権で「原発汚染水」海洋放出が現実になるか

菅政権で「原発汚染水」海洋放出が現実になるか

Posted September. 18, 2020 08:35,   

Updated September. 18, 2020 08:35

한국어

16日に菅義偉首相が就任し、福島汚染水の海洋放出が現実になるのではないかという懸念が再び水面に浮上した。菅氏が、「次の政権では福島原発の放射能汚染水問題を解決しなければならない」と明らかにしたことがあるためだ。

東京電力は15日から福島原発の敷地に保管中の汚染水を日本の規制当局が定めた放射性物質排出基準値以下にするための再浄化作業に着手した。一部ではこれに対して、福島の汚染水海洋放出に向けた準備作業と見ている。専門家たちは、再浄化試験の結果が当初の目標どおり放射性物質濃度を基準値以下に下げることができるのか、透明な情報公開が必要だと口をそろえる。

福島の放射能汚染水は2019年基準で1日平均180トン発生している。ここには人為的に注入した水のほかに、13年から原子炉の建物に流入して汚染された大量の地下水も含まれる。今年2月、日本政府は22年8月頃に原発の敷地内の保存空間がいっぱいになると見て、海洋放出が適切な方法と結論を下した。

 

日本政府によると、福島の汚染水に含まれた放射性物質は計64種。主な放射性物質は、セシウム134とセシウム137、コバルト60、アンチモン125、ルテニウム106、ストロンチウム90、ヨウ素129、トリチウム(三重水素)、炭素14、テクネチウム99の10種で、残りの54種は自然に影響を与えないわずかな量だ。

 

国際原子力機関(IAEA)は主な放射性物質ごとに排出基準を勧告している。強いエネルギーであるガンマ線を放出するセシウム137の排出基準は1リットル当たりで90ベクレル。現在、福島の汚染水のセシウム137の放射能濃度は0.0585~829ベクレルだ。保存タンクに保管された汚染水ごとに放射性物質の濃度が異なり、偏差が大きい。

東京電力が着手した再浄化作業は、このような放射能濃度の偏差を減らし、放射性物質ごとに排出基準値以下に下げる作業だ。多核種除去設備「ALPS(アルプス)」のフィルターをグレードアップして交換する作業を通じて、現在保管する汚染水を再浄化し、放射能濃度を確認した後、基準値に達しない場合、再び再処理の過程を経る。

 

原子力安全委員会防災環境課のキム・ユンウ課長は、「IAEAの検討の結果、ALPSの性能は問題視していないようだ」とし、「技術的には再浄化を通じて排出基準を満たすことが可能だと見ているが、現実にどの程度まで再浄化が可能かは様子を見なければならない」と指摘した。

問題は三重水素だ。濃度が一定水準以上高い場合、除去設備を通じて一部浄化処理が可能だ。しかし、福島汚染水の三重水素の濃度は1リットル当たり平均58万ベクレルで、除去設備で浄化できるほど高くない。また、排出基準値である1リットル当たり6万ベクレルを上回る数値だ。このような状況で、実効性のある三重水素除去の技術はまだないという。

国家核融合研究所ITER韓国事業団のチャン・ミンホ燃料サイクル技術チーム長は、「電気分解を通じて三重水素の濃度を下げる方法があるが、濃度が低い場合、電気を多く使わなければならないため多くのコストが発生する」と指摘した。


ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com