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グローバル産業再編が本格化、企業のUターン支援を特恵と見るべきではない

グローバル産業再編が本格化、企業のUターン支援を特恵と見るべきではない

Posted May. 20, 2020 08:52,   

Updated May. 20, 2020 08:52

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政府が、海外に進出した企業の国内復帰のために、首都圏工場立地の規制緩和を含むさまざまな支援策について議論していることが分かった。世界の各国が「ポストコロナ」に備えて我先にリショアリング(企業の国内復帰)を推進する状況で、破格的なインセンティブがなければ、企業のUターンが難しいと判断したのだ。政府は来月初め、このような内容などを具体化した下半期経済政策の方向性を発表する予定だ。

企業各社はこれまで、コストを削減し、生産性を高めるために、重要なソフトウェアは先進国、部品調達は中進国、組立は発展途上国でというふうに多国籍サプライチェーンを構築してきた。しかし、米中貿易紛争で自国優先主義が強まり、新型コロナウイルスによって供給が途絶えたことで、グローバル化の問題が明らかになった。政治・社会的リスクが大きくなると、各企業は生産工場を本国や主要市場の周りに再編する動きを見せている。

米国、欧州、日本などの先進諸国の政府はこれに歩調を合わせてリショアリング政策を強化している。日本政府は最近、中国にある自国企業のUターンのために、移転コストの3分の2までを支援すると発表した。ドイツもUターン企業の法人税率を引き下げ、スマートファクトリと研究開発補助金を支給している。米国は法人税率を21%からさらに引き下げ、中国から帰ってくる製造企業は、移転費用を100%保全する対策を検討している。

韓国も、2013年に「海外進出企業の国内復帰支援に関する法律」を制定して、企業Uターンを推進してきた。しかし、これまで戻ってきて実際に工場を稼働するのは40社に過ぎない。法の制定後、Uターンした大企業は、現在、蔚山(ウルサン)に電気自動車部品工場を建設している現代モービスが初めてであるほどだ。アップルがリショアリングで米国で2万人以上の雇用を創出し、日本の自動車メーカー3社が中国から日本に工場を移したことに比べれば微々たる水準だ。

グローバルなサプライチェーンの再編が始まり、世界各国の企業誘致競争が本格化している状況では、国全体に何が利益であるかを総合的に見なければならない。韓国企業のUターンは簡単なことではない。韓国は、米国や中国のように市場が大きくなく、輸出中心の大企業が国内に戻ってくる誘因があまりない。人件費が安価な東南アジアに比べて、労働市場の競争力が高いのでもない。政府のすべての省庁が乗り出して、一社一社に対してカスタマイズサービスを提供するという覚悟で全力を傾けなければならない。