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ノートルダムの「あの時の響き」を再び感じることができるだろうか

ノートルダムの「あの時の響き」を再び感じることができるだろうか

Posted February. 14, 2020 09:53,   

Updated February. 14, 2020 09:53

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昨年12月、フランス・パリのノートルダム大聖堂はクリスマスのミサを開くことができなかった。同年4月15日に起きた大火災で、18世紀に復元した尖塔と12世紀に建てられた屋根の木造構造物が燃えて大きな被害に見舞われたからだ。この大聖堂のクリスマスミサが中断されたのは、フランス大革命の時期にしばらく閉鎖したが、1803年にミサを再開してから216年ぶりのことだ。美しかった大聖堂の姿が消え、大聖堂の内部で響いた荘厳で美しいミサの音楽も消えた。

昨年10月になってようやく残骸の除去を開始したノートルダム大聖堂には最近、音響学者たちが訪れ始めている。火災と一緒に消えてしまった大聖堂の音を取り戻すためだ。米科学媒体「サイエンスニュース」は、大聖堂の音響復旧任務を引き受けた音響学者ブライアン・カッツ・フランス国立科学院研究員(CNRS)チームの話を伝えた。

研究チームがたまたまあらかじめ作っておいた「音の地図」は、大聖堂の音を復元するために重要な役割を果たしている。2013年、研究チームは大聖堂でのコンサートが終わった深夜に、スタンドマイク数十台とマネキンを用いて大聖堂の音響特性を測定した。これをコンピュータシミュレーションと比較して、大聖堂の内部から音がどのように広がっていくのかを予測した。研究チームは、ノートルダム大聖堂の音が独特であることに着目して、音の地図を作ってみることにした。この大聖堂では、静かな状態で足音を出せば、数秒間その音が同じように聞こえる現象を難なく経験する。音が止まった後も引き続き聞こえる一種の「残響現象」である。音波が壁や床、天井に反射された後、一歩遅れて到達して生じる現象である。残響が長くなれば、音楽の音色が豊かで音が暖かく感じられる。

中世の大聖堂は、そのほとんどが壮大な構造なので、残響が比較的長く聞こえる。大理石の床と、石灰岩のように音波をよく反射して残響が長く残る建築材も多く使用した。多くの中世大聖堂の残響は、5秒以上持続することが多い。研究チームの測定結果、石灰岩の天井の高さが33メートル、大理石の床の広さが4800平方メートルに及ぶノートルダム大聖堂の残響は平均6秒で、既存の中世大聖堂より長い。

一部の音響学者は、文化的価値が大きく、予期せぬ事故で消えてはならない古い大聖堂の音の地図を作成している。リディア・モラレス英ヨーク大学演劇映画及びテレビ学部ポスドクは、ヨークミンスター大聖堂とブリストル大聖堂など、英国内の4つの大聖堂の音響地図を作成して、昨年、国際音響学会で発表した。テニスコートよりも大きなステンドグラスの窓が付いているヨークミンスター大聖堂は、1829年と1940年に大火災に見舞われて修理された。モラレス研究員は、「大聖堂で感じる音が大聖堂の重要な特性だ」と話した。

研究チームは、ノートルダム大聖堂の復元のためのデザインと建築材が音響に及ぼす影響を、音の地図を通じて分析する予定だ。カッツ研究員は、「回廊の一部を覆う小さな選択だけで、音に大きな違いを作ることができる」と明らかにした。


チョ・スンハン記者 shinjsh@donga.com