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ヴェネツィアのダヴィンチ

Posted January. 30, 2020 08:06,   

Updated January. 30, 2020 08:06

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「ヴェネツィア画派」の創始者と呼ばれるジョルジョーネは、短い生を生きたベールに隠れた画家だ。彼が画家として活動した期間は15年に過ぎなかったが、16世紀の伝記作家ジョルジョ・バザーリは、彼をレオナルド・ダ・ヴィンチに比肩する偉大な画家として評価した。

彼の代表作「嵐」も、彼の生涯と同じくらい謎に満ちている。過去何世紀もの間分析され、研究されたが、この絵のテーマはまだ謎として残っている。だから、さまざまな解釈が存在する。遠く都市が見える田園を背景に、右側には裸の女性が子供に乳を飲ませている。長い棒を持った左の男は、笑顔で彼らを見つめている。これまで学者たちは、この男は兵士、牧童、ジプシーや未婚男性クラブのメンバーだと主張した。ギリシャ神話や牧歌小説に出てくるシーンという解釈もあり、聖書の中のアダムとイブ、彼らの息子カインだと主張する見方もある。絵の中の男は画家自分であり、女性は画家が想いを寄せた片思いの女性だという解釈もある。

実はこの絵で最も重要な部分は、ミステリーな二人の人物ではなく、雷が落ちる風景だ。これはほとんどの美術史家も同意する部分だ。画家は、二人の人物を画面の両端に配置して、鑑賞者が風景に集中するように誘導している。美術の主人公は人物だと思っていた時代に、彼は人物より風景をより強調して描くことで、最初の風景画に挑戦したという評価を受けている。これがまさにジョルジョーネの絵の革新性である。彼の絵は、型にはまった宗教画や肖像画に飽きたスポンサーたちを一気に魅了し、彼の名声はヴェネツィアを超えてイタリア全土に広がった。

名をはせていた1510年、残念ながら彼はペストに感染して33歳でこの世を去った。風景画で当代美術に革新をもたらしたジョルジョーネの成果は、仲間の画家ティツィアーノが継承して発展させた。ジョルジョーネの想像力に満ちた人物画と、光と色彩を強調した柔らかくて感性的な風景画は、後日ロマン主義、印象派、フォーヴィスムにまで影響を及ぼした。