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11月のための弁明

Posted November. 09, 2019 08:36,   

Updated November. 09, 2019 08:36

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11月は、秋が深まり、落ち葉が散り始める季節だ。雨や雪もあまり降らず、平均気温はソウルが6.3度、済州(チェジュ)が12.1度、平壌(ピョンヤン)が3.4度と概ね快適だ。8日が立冬だったが、まだ厳しい寒さは感じられず、22日の小雪になれば寒くなるだろう。野外活動が活発になる季節だ。

しかし、11月は特徴のない月と見なされる。祝日が一日もない。英語で11月はノーベンバー(November)だが、「No」で始まるので何もないという笑い話がもっともらしく聞こえる。一年の最後を飾るわけでもなく、終わりから2番目の月なので、特に記憶に残る日がない。強いて探すなら、棒の形の菓子を連想させる11月11日にその菓子の名前をつけて呼び、恋人が菓子を分け合う。商業的に作られた感じがして良く思わない人々は、この日を「餅デー」に変え、韓国の農産物の消費を増やそうと主張する。実際、この日は農民の日でもある。漢字「十一」月「十一」日を合わせれば「土」になり、「土月土日」になる。土から出て土を友として生き、土に戻る農民を賛えるために政府は1997年にこの日を法廷記念日に指定した。

土から出て土に戻ることは農民だけだろうか。キリスト教の聖書では、「あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついに、あなたは土に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたはちりだから、ちりに帰らなければならない」(創世記)とし、すべての人間が死を避けられない存在であることを喚起させる。
 
西洋の伝統で11月は死を考え、死者を弔う慰霊の月でもある。「死を忘れるなかれ(メメント・モリ)」という警句は、呪いの言葉ではなく、生と死を一つとして受け入れ、現在の人生により忠実で感謝せよとの知恵が込められた祝言だ。古代ローマの凱旋将軍は、行進の隊列の従者に対してこの警句を叫んだ。古代ケルト族は、10月31日に死と幽霊を弔う祭りを行い、一年の開始である11月を迎えたが、これがハロウィンにつながっている。この日は、死や不運を想起させる幽霊、コウモリなどを愉快な象徴とし、祝祭を楽しむが、これは死に対面することで人生の肯定的なエネルギーを蘇らせる。

陰暦10月に該当する11月は、昔から韓民族にも最も偉大な月と見なされた。崔南善(チェ・ナムソン)は『朝鮮常識問答』で、「この時期は(中略)神と人間が共に楽しむ月として、12の月の中で唯一の月と考え、上月と呼んだ」と記録した。高句麗、濊、馬韓などで、古代の祭天儀式が全て上月に行われた。民間巫俗では、村の洞祭と家神祭を上月に行い、将来を祈願する。

静かに新しい希望と人生の活気が芽生える祝福の月が、今私たちが何気なく過ごしている11月だ。注目されないこの月に感謝し、近づく時に祝福を祈る。