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[オピニオン]マンブッカー国際賞最終候補の作家「韓江」

[オピニオン]マンブッカー国際賞最終候補の作家「韓江」

Posted April. 15, 2016 07:20,   

Updated April. 15, 2016 07:29

한국어

韓国文学は、そのほとんどが英語のうまい韓国人によって英語に翻訳される。一方、英文学は英語のうまい韓国人によって韓国語で翻訳される。このような非対称性が韓国文学を海外に紹介するうえで、ネックとなっているのが事実だ。韓江(ハン・ガン)の小説「菜食主義者」は、英ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)博士課程の学生であるデボラ・スミス氏が韓国語を学んで、自分で英語で翻訳した。英語圏の読者たちが感じる感動がより大きくなるのは必至だ。

◆韓江の「The Vegetarian(菜食主義者)」が、英マンブッカー国際賞の最終候補の6人にノミネートされた。最終候補には、ノーベル文学賞受賞作家のトルコのオルハン・パムクも含まれている。マンブッカー国際賞は、ノーベル文学賞やフランスのゴンクール賞と共に世界3大文学賞の一つと言われているマンブッカー賞の姉妹賞だ。マンブッカー賞は英連邦作家に、マンブッカー国際賞は非英連邦作家や翻訳者に与えられる。受賞者は来月16日に発表される。

◆平凡な妻がある日突然、菜食主義者になる。妻は靴すら革製品だと主張して捨てるほど、菜食にこだわる。妻は小さい時、自分がかまれたことで父親によって悲惨に殺され、自分も無理やり食べさせられた犬への記憶が思い浮かんだ。自分の野獣性に気付いた彼女は、処罰の一つとして自己破壊に取り掛かる。草食でも足りず、むしろ植物になることを願った妻が、病院に運ばれ、(おそらく妻によって)首筋がかみちぎられた鳥を手に握っているシーンは、人間の根源的野獣性を告発するかのようにおぞましい。

◆2014年、光州(クァンジュ)民主化運動を背景にした「少年が来る」が発売された時、韓江の作品を初めて読んだ。2011年、「ギリシャ語の時間」が出てきた時は、導入部がやや退屈そうに感じられたので、途中であきらめた。「菜食主義者」はそのずっと前である2007年に発売された。読んでいなかったのに、マンブッカー国際賞候補にノミネートされたと言われて、後で読んだ。この作品の価値に気付いて選んだ翻訳者の目に驚かされるばかりだ。小説家・韓勝源(ハン・スンウォン)の娘として父親の才能を受け継いだ作家が、良い翻訳者にまで出会い、ついでに受賞の運までついて来たらと思う。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com