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[社説]政権セヌリ党の「険地出馬論」には自己犠牲が見えない

[社説]政権セヌリ党の「険地出馬論」には自己犠牲が見えない

Posted December. 26, 2015 07:19,   

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与党セヌリ党で論議が起こっている「険地出馬論」の本質は、「私が出馬したくない地域にお前が行け」という、映画『友へ チング』の「お前が行け、ハワイ」の政治バージョンだ。「険地」の語感もよくない。セヌリ党が有利な「TK(大邱・慶尚北道)」と「PK(釜山・慶尚南道)」、「ソウル江南(カンナム)圏」地域のほかは険地という意味だが、険地と言っておいて票をくれというのもおかしなことだ。

親朴(親朴槿恵)系の核心である洪文鐘(ホン・ムンジョン)議員は24日、趙允旋(チョ・ユンソン)前政務首席がソウル瑞草(ソチョ)乙からの出馬を宣言したことを受け、「金滉植(キム・ファンシク)前首相、安大熙(アン・テヒ)前最高裁判事と共に「インキュベーターに入れて政治的大木に成長させなければならない」と話した。3人皆親朴とされる。その代わりに険地出馬候補では、非朴(非朴槿恵)重鎮の李在五(イ・ジェオ)議員が挙げられた。一方、非朴系では、洪議員や崔鍫煥(チェ・ギョンファン)前経済副首相のような親朴の核心が模範を示して険地に出て行かなければならないと主張する。

険地出馬問題は指導部が自ら招いた面がある。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が「真摯な人」と発言してTK地域に側近を入れようとすると、金容兌(キム・ヨンテ)議員は先月、「いわゆる『朴心』を背に出てくる出馬予想者がちゃんとした評価を受けるには、野党議員が現役の首都圏に出なければならない」とし、「険地勝負論」に火をつけた。朴大統領の「七光り」があれば当選できる陽地と比べられ、険地の影はさらに深まる。「公認権を放棄する」という金武星(キム・ムソン)代表も、金前首相と安前最高裁判事に会って、険地からの出馬を要請した。こうしたことが戦略公認ではなく何だろうか。険地出馬論には自己犠牲の感動がなく、他の派閥やライバルを死地に追い込もうとする政略だ。

1996年の第15代総選挙で、金泳三(キム・ヨンサム)大統領は野党の勢いが強い地域に改革派の人物を公認した。一時、反旗を翻した李会昌(イ・フェチャン)元首相は、「選対委員長」という御輿に乗せ、総選挙を勝利に導いた。「無条件、険地に行って生きて帰って来い」といった対策のない険地出馬論は困る。ただでさえ、安哲秀(アン・チョルス)新党がセヌリ党の左を崩し、党は一層「既得権右派」に偏っている。既得権を守ろうとする険地出馬論に明け暮れて後悔する日がないことを望む。