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[オピニオン]コーヒー1杯の哀歓

Posted December. 18, 2015 07:25,   

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「コーヒーの味は千回の接吻よりも素晴らしく、マスカットのワインよりもかぐわしい」。コーヒーをあまり飲むなと父親に言われても、娘は聞こえない振りをする。腹が立った父親が、「じゃ結婚させない」と脅かすと、さすがの娘も「すぐに止めるから結婚させて」と哀願する。しかし、父親が花婿を探しに出かけている間に、一筋縄ではいかない娘は、コーヒーを飲ませてくれる人でなければ家にいれないと言う。ヨハン・セバスチャン・バッハが1732年に作曲したコーヒー・カンタータは、コーヒー好きの娘の話を軽快なメロディで奏でた。

◆今は「紅茶の国」というイメージが強いが、17世紀の英国では、コーヒーハウスが雨後の筍のように生まれた。男たちは夜遅くまで酒を飲み、コーヒーハウスでコーヒーで酔いをさますのが日常だった。男性中心のコーヒーハウス文化から疎外された女たちは、1674年、酒ではなくコーヒーに反対する嘆願書を出した。コーヒーが男性を性的に無気力にさせるという主張に、男たちはかえって力があふれると反論した。当時は熱い論争だったが、コーヒーと男性の性的能力に直接的な関係はない。

◆西欧式の食生活が広がり、朝ごはんの代わりにシリアルやコーヒーで済ませる若者が多い。今は、自分の名前をつけたシリアル会社の創立者と記憶する人が多いが、米国のチャールズ・ウィリアム・ポストは、コーヒーは体に害になる麻薬だと主張する刺激的な広告を出し、コーヒー代用の飲み物「ポスタム」を売った。しかし、ポストは他人には飲むなと言いながら自分はコーヒーを飲んでいた。

◆コーヒーを愛飲する国民が増え、食品医薬品安全処がコーヒーの1回提供基準量を100mlから200mlに増やした。自動販売機の紙コップの容量が110mlなので、その2倍近くになる。食品医薬品安全処がこんなことまで決めなければならないのだろうか。街には様々なコーヒーショップができ、コーヒーの種類も覚えられないほど多い。2人組のインディーズバンド「10cm」の歌のように、

eligius@donga.com