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[オピニオン]匿名で書かれる国定教科書

[オピニオン]匿名で書かれる国定教科書

Posted October. 26, 2015 07:13,   

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1996年、国定としては最後に発行された高校の国史教科書を開いてみたら、執筆陣9人の名前がはっきりと記載されている。1974年に初の国定国史教科書が発行された後、国定とはいえ、執筆陣を明らかにしなかったことは一度もなかった。ところが、金貞培(キム・ジョンベ)国史編纂委員長は先月23日、国会北東アジア歴史歪曲特委で、「教科書執筆陣が拒否すれば、名簿公開はできない」と話して、議論となっている。

◆国史教科書の国定化が望ましい解決策ではないが、政府が推し進めようとする意志は強い。しかし、執筆陣のわからない国定教科書だけは絶対にあってはならない。国定教科書も執筆陣が良心に基づいて書くものだ。執筆陣の公開は、国定化への最小限のけん制装置ともいえる。維新時代の国定教科書には、維新を称える内容が盛り込まれた。当時、近現代史を執筆した仁荷(インハ)大学の尹炳奭(ユン・ビョンソク)教授は、そんな内容を書いたことがないと主張している。それを書いたのは、匿名の後ろに隠れた国家だ。国定化を懸念するのは、ほかならぬそんな可能性のためだ。

◆金委員長の発言が、苦肉の策であるのを知らないはずがない。国定化の発表直後、一部の大学や学会を中心に、歴史学教授らの執筆拒否宣言が相次いだ。執筆を頼んでもいないのに、執筆拒否なんて笑われる。執筆を拒否した学者のうち、これまで教科書執筆に参加した経験のある人は一人もいないという。国定教科書執筆に参加すれば、村八分となると脅かす空気を造成しようとする狙いが覗われる。誰よりも個人の意思を尊重しなければならない教授らがやってはならない幼稚な行動だ。

◆国定化に進むことになれば、実際、執筆陣の名簿を公開しないことなどないと思う。しかし、そんな発想が出たこと自体が、一部の負けを認めることになる。自分を名をかけて堂々と書けない歴史なら、最初から書くべきではないと助言したい。知識人社会だけをみれば、国定化に反対する意見が圧倒的に多い。賛否が拮抗していた一般人の反対も、賛成より増えている。朴槿恵(バク・グンへ)大統領は27日、国会での施政演説で、国定化について最終的に釘をさす前に、改めて国定化如何について深く悩んでみることを願う。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com