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[オピニオン]動物の王国と政治

Posted July. 08, 2015 07:07,   

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飢えたライオンが群れから離れた水牛を見つけ、静かに近づく。飛びついて水牛に噛みつこうとした瞬間、鋭い水牛の角がライオンを突き刺す。水牛は、血だらけになったライオンが食い下がると、払いのけて撃退する。KBS第1テレビ「動物の世界、動物の王国」で約1ヵ月前に放映された場面だ。百獣の王のライオンでも水牛と1対1で闘うと、勝利を確言できない。そのため、水牛のように図体の大きな獲物は、ライオンも群れで攻撃する。

◆朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が、政治に入門する前、朴映宣(パク・ヨンソン)新政治民主連合議員(当時MBC記者)とのインタビューで、「動物の王国」を好んで見る理由を「動物は裏切らないから」と言ったことが話題だ。しかし、動物も裏切る。水牛にやられたライオンは、老いて弱ると、若いライオンに群れから追い出される。北極グマは、飢えたり繁殖期になると、子熊を食べてしまう。飢えを満たすとともに、未来の競争者を除去するためだと動物学者は見る。サンドタイガーシャークも先に孵化すると兄弟を食べてしまう。

◆故金大中(キム・デジュン)大統領も「動物の王国」マニアだった。生前、ノーベル平和賞の証明書と一緒にこの番組のビデオテープを接見室に置いた。政治家や軍、検察、警察など権力機関の幹部の中にも「動物の王国」を好んで見るという人が多い。陰謀と策略が乱舞する政治世界で力と勢力が弱くなれば追い出されるほかない。朴大統領は「裏切りがない」という高尚な理由をあげたが、権力者は適者生存と弱肉強食の法則が適用される動物の世界を見て、人間世界も似ていると考えるようだ。

◆ワニとワニチドリ、サメとコバンザメは共生関係にある。「動物の王国」には弱いものが強いものに食べられる食物連鎖だけでなく、共生と協同関係もある。微生物を含む生命界全体に拡大して見ると、生命体間の共生は非常に広範囲に存在する。与党セヌリ党の劉承ミン(ユ・スンミン)院内代表の辞任問題で与党の内紛が頂点に突き進んでいる。朴大統領が裏切りでなく共生の観点で動物の王国を見たなら状況は変わったのかもしれない。

崔英勲(チェ・ヨンフン)論説委員 tao4@donga.com



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