北朝鮮の脅迫を隠したのも「誇らしい意思不通」か

北朝鮮が１９日昼、西海（ソヘ・黄海）の軍通信線で電話通知文を送ってきた。国防委員会政策局書記室名義の電話通知文には、「ソウル市内のど真ん中で私たちの最高尊厳に対する特大型の挑発を繰り返すなら、私たちの容赦ない報復行動が予告なく無慈悲に加えられるだろう」と記されていた。金正日（キム・ジョンイル）総書記の２周忌の１７日、ソウル市内で保守団体の会員が金日成（キム・イルソン）、金正日、金正恩（キム・ジョンウン）の写真を貼った人形を燃やしたことへの反発のようだ。韓国軍は直ちに政策企画官室名義で「挑発する場合、断固として報復する」と通知した。

北朝鮮のナンバー２である張成沢（チャン・ソンテク）氏粛清後の混乱した北朝鮮の状況を考えると、北朝鮮の警告を軽く見ることはできない。そのうえ、北朝鮮の電話通知文の受信者は大統領国家安保室だった。

朴槿恵（パク・クンヘ）大統領に宛てられたのだ。北朝鮮が国防委名義で大統領府に電話通知文を送ったのは朴政府になって初めて。北朝鮮が通常、官営メディアを通じて公に対南威嚇をしたのと違って軍通信線を利用して非公開にしたことは通常でない。

にもかかわらず、政府はメディアがこの事実を報道するまで隠した。政府関係者は、「北朝鮮が非公開で送ってきたので、私たちも非公開で返信を送った」と説明した。しかし、金寛鎮（キム・グァンジン）国防部長官は、来年１月末から３月初めに北朝鮮の挑発の可能性が高いと公言した。国民は現在の状況を正確に知る権利がある。北朝鮮の挑発警告を知らせたからと以前のように国民が大きく動揺することもない。かえって政府が隠したことで国民の不安を煽った面がある。

朴大統領の原則的な北朝鮮政策は、比較的高い支持を得ている。しかし、安保こそ国民との意思疎通が絶対的に必要な分野だ。朴大統領も、国を守ることは武器ではなく愛国心と国民の一つになった力だと何度も強調してきた。

北朝鮮の明白な警告をありのまま公開しないことは、そうした点で残念だ。李貞鉉（イ・ジョンヒョン）大統領広報首席書記官は１８日、「最も遺憾なのは『意思不通』という批判だ」とし、「抵抗に屈しないのが意思不通なら、５年間意思不通と言われるだろう。それは誇らしい意思不通だ」と述べた。世の中に「誇らしい意思不通」はない。誇らしい意思疎通と国益のための安保の維持の２つがあるだけだ。