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自殺につながったパフォーマンスと取材倫理

自殺につながったパフォーマンスと取材倫理

Posted July. 29, 2013 03:11,   

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男性人権団体「男性連帯」のソン・ジェギ代表が、ソウル麻浦(マポ)橋から漢江(ハンガン)に飛び降りて行方がわからなくなった。ソン代表は、飛び降りの前日、男性連帯のネット上のホームページに、男性連帯への後援を訴え、飛び降りを予告した。命を担保にしたパフォーマンスに挑み、自殺沙汰に終わったのだ。

ソン代表の飛び降りの予告文を読めば、自殺パフォーマンスを超えて、実際、自殺する狙いがあったかどうか不明だ。飛び降り前のツイッターには、「生きて帰るだけの自信がある」という書き込みを掲載し、飛び降り直前に、水深などに目を通し、水上安全講師も待機させたという。しかし、「私に万が一のことがあったら、次の2代目の男性連帯の代表は、事務処長が引き継ぎます」、「我々のみすぼらしい試みが失敗に終わっても、どうか、覚えておいてください」などの書き込みは、自殺につながりかねない危険性を十分、認識していたことを示している。未必の故意による自殺と受け止める余地もある。このような蛮勇を真似る人たちが出るのではないか、懸念される。

ソン代表の飛び降りの現場には、男性連帯のメンバーらやKBSの記者らがいた。彼が狙った自殺パフォーマンスは、メディアへの露出を前提にしたものだ。飛び降りの確認写真を撮り、ネット上に掲載しようとした男性連帯のメンバーらや取材に来ていたKBSの記者らは、彼のパフォーマンスをあおることに片棒を担いだとも受け止められる。特に、KBS記者らは、ジャーナリストとしての取材準則を守らなかった。当時、漢江は、長い梅雨で水量が増え、水の流れは激しく、飛び降り後、泳ぐのには危険な状況だった。KBS側は、飛び降り前と後の2度の救助通報をしたと釈明し、撮影映像は放送しなかった。警察と救助隊がまだ出動していない状況の中で、命より取材を重視する態度は、いかなる言い訳も通じがたい。

ソン代表の男性連帯は、我が社会で男性が女性より差別を受けているという挑発的な問題提起をし、女性家族部の廃止や軍加算制度の復活などを主張してきた団体だ。女性団体とは違って、政府から後援を受けておらず、2億ウォン以上の借金に苦しんでいた。彼の自殺パフォーマンスは、社会的注目を集め、後援金を集めようとする狙いで、企画された。我々は問題解決のための簡単な方法で命の放棄を利用するいかなる試みも許されない。生半可な自殺パフォーマンスが、生命の倫理を傷つけ、残念だ。