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国家情報院糾弾のロウソクが下火になった理由

国家情報院糾弾のロウソクが下火になった理由

Posted July. 05, 2013 04:22,   

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最近、光化門(クァンファムン)では国家情報院を糾弾する集会が連日開催された。左派陣営の一部では、2008年のロウソク集会が再燃するだろうと期待した。比べてみると、2008年に比べて今回の方が大義名分はある。2008年のロウソクの芯が狂牛病(BSE)にまつわる怪談という扇動の砂浜に刺されていたとすれば、今回は国家情報院の公職選挙法違反が疑われるという実体がある。

ところが、2008年の主婦や青少年たちが街頭に繰り出たのとは違い、最近の市民たちの反応は冷めている。恐らく、左派陣営は「口に入る狂牛病恐怖」といった形の感情を刺激するような、インパクトのある発火装置がないことを原因として挙げているだろう。そのような分析にも一理はあるが、より根本的な原因は別にあるように見える。

2008年とは違い、国民が事案の実体を知り尽くしている。2008年には飛び交う狂牛病怪談と左派系メディアの扇動で、国民が真実を把握するまでに時間がかかったが、今回は、検察捜査を通じて、国民は問題の深刻さや違法行為の軽重に対する一定の判断をしている。

「国家情報院長が従北左派撲滅を強調しており、それを選挙戦への介入指示と受け止めた心理戦団職員らが、野党候補への誹謗をネットに書き込み、そうした内容の書き込みを73件確認している」というのが検察捜査結果の要点だ。

この結果について、左派は、①国家情報院が選挙戦に介入した、②従って大統領選は不正選挙だった、③よって朴槿恵(パク・クンヘ)政権は正当性がない——といった論理を展開している。そうした理屈から、「朴槿恵退陣」や「当選無効」といったスローガンを掲げた。

ところが、国民は、②国家情報院の選挙法違反は民主主義においては容認できない犯罪だ、②とは言っても違反内容は選挙に影響を与える程度のものではなかった、③従って、不正選挙云々するような事案ではない——という反応だ。つまり、「国家情報院の選挙戦介入」という刺激的なスローガンに振り回されずに、事案の実態を立体的に見ているのである。

ロウソク集会場を通り過ぎていた大学生は、「国家情報院が組織的に選挙戦に介入していたのなら、数ヵ月間、70人が書き込んだ野党誹謗の誹謗が数十件に過ぎなかっただろうか」と話した。実際、73件の書き込みは、一人で1時間で打ち込める水準だ。もちろん、検察が見つけられていないものもあるだろうが、それでも数十万、数百万件に上る書き込みが隠れている可能性は低い。検察が突き止めた全容が、氷山の一角だとしても、野党が本気で疑っているのなら、国政調査ではなく特別検察官の実施を要求するべきだった。

隠蔽を疑うのは、検察としては悔しいことかもしれない。筆者は、検察の特別捜査チームが「政治的考慮」をかなりしたと見ている。ここで言う政治的考慮とは、権力の顔色を伺うという意味とはかけ離れている。すなわち、△検察への信頼を回復しなければならないという切羽詰った気持ち、△国家情報院の政治介入を追放するべきだという使命感などが、捜査に取り組む態度や法理判断に影響を与えた形跡がある。縮小捜査どころか、使命感の過剰や時代精神の過剰があったと言って良いほどだ。

もちろん、書き込みの件数が少ないといって国家情報院の過ちが軽いと言えるものでは決してない。権力の侍女役を買った恥じるべき過去を持つ国家情報院が、今回のような行為をしたのは、大いに反省したと言っていた常習的な性暴行犯罪者がセクハラを犯したも同然だ。たとえ、セクハラの内容が、手を一度触ったに過ぎないものでも、許される行為ではない。

とは言え、国民は民主主義の基盤が揺さぶられたと、そして大統領選挙が不正選挙だったとは見ていない。軽重を見分け、事案を複眼的に判断している国民の水準と、単線的な飛躍論法に酔っている左派系運動家らの水準の違いが、ここでも露呈しているのである。

国家情報院事件を見ながら、大盗チョ・セヒョンを思い出した。今年4月、瑞草洞(ソチョドン)の住宅に侵入した彼は、深夜に町中に聞こえる形でガラス窓を破ったために捕まった。政治介入という悪い習慣を直せずに、つたないレベルの書き込みをして恥をかいているアマチュア的な情報機関の有様から、「プロとしてするべきことか」と自分を叱りつけていた大盗の嘆きが聞こえる。事案の軽重を無視して、「李承晩(イ・スンマン)政権の不正占拠に劣らない不正選挙」だと叫んでいる左派運動家の姿からもなかなか直らない悪習がうかがえる。