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[オピニオン]代行運転手の「運の良い日」

[オピニオン]代行運転手の「運の良い日」

Posted April. 10, 2013 04:20,   

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「東小門の車引きのキム・チョムジ(年老いた男性を卑下して言う言葉)に久しぶりにやってきた運の良い日だった。冬雨が降り続けるのに、80銭を稼いで母酒まで飲んで、1ヵ月以上経ったのに、咳きが止まらない妻に食べさせるソルロンタンまで買って帰ってきた。病気の妻はソルロンタンを頬を膨らませながら急いで食べては、同日の夜、上目をして息を引き取った。涙を含んだ妻の目を見ながら、キム・チョムジの目頭も赤くなった」1920年代の日雇い車引きを素材にしたヒョン・ジンゴンの短編「運の良い日」の大筋だ。

◆今で言うと、代理運転士らがキム・チョムジのように1日稼いで、1日食べる厳しいその日暮らしの人生だ。運が良くて5〜6度ぐらい「コール」を取って、10万ほど稼いでも、会社の手数料20%、保険料、プログラム使用料、交通費などを引くと、6万ウォぐらいしか手に入らない。一部悪徳業主は色々な名目で手数料を取る「運転士商売」をする。帰ってくるのが難しい「奥地コール」やお金にならないコールに遭うと、1日が駄目になりがちだ。運が悪ければ、お酒に酔って暴力をふるい、女性運転士を接待婦に勘違いする「客(お客さんからさん抜きで呼ぶ運転士らの隠語)」に会う。

◆最近、代行運転手のイム某さん(47)が俳優のイ・ジアさんを乗せて、国内に100余台しか輸入されていない億台のマセラティ車両を運転する途中、巡察車を後ろから追突させた。彼が保険に入っていたとは言え、保険限度は3000万ウォンだ。このお金を越える修理費は代行運転手が支払わなければならない。外車だからという理由で、お金をもっともらうわけではないのに、リスク負担はずっと大きい。イムさんは衝突する瞬間、家族の顔が真っ先に思い浮かんだという。

◆1990年代に登場した新種都市サービス業の代理運転は飲酒交通事故を防ぎ、通貨危機以後、庶民の働き口を作った順機能がある。全国代理技師協会は全国に15万〜20万人の代行運転手がいて、一晩に50万〜60万人が代理運転を利用すると推定する。しかし、まだ関連法律や標準料金もない。運転士の権益と消費者安全のためでも、法の死角地帯から脱しなければならない。今晩も数十万の代行運転手が「運の良い日」を期待して街を走り回る。

朴湧(パク・ヨン)論説委員 parky@donga.com