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[オピニオン]慈悲と過酷な正義

Posted December. 20, 2012 07:07,   

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クイズ1〓もつれた髪に太った体をした中年女性が、オーディションの舞台に現れたとき、人たちの反応は冴えなかった。しかし、彼女が歌い始めると、客席には戦慄が流れた。あまり取り柄のない40代のハイミス・スーザン・ボイルが、世界のシンデレラに誕生する瞬間だった。そのとき、天上の歌声を聞かせた歌(I Dreamed a Dream)が出てくるミュージカルのタイトルは果たして何だろうか?クイズ2〓先週、ハリウッドの名誉の通りに2487番目に登場したヒュー・ジャクマン。世界初で昨日、国内で公開された映画で、彼は36時間、一滴の水すら飲まず、歌や演技をする意気込みを見せた。彼が熱演した「希望のアイコン」は果たして誰か?

◆答えは、「レ・ミゼラブル」と「ジャン・バルジャン」だ。「悲惨な人たち」という意味のビクトル・ユゴーの同名小説が、今年末国内外で話題となっている。原作を基に制作されたミュージカルが最近、ハリウッド映画として生まれ変わったのだ。作品の中では、貧しさのために一本のバンを盗んだ生計型犯罪で、19年間地獄のような刑務所での生活を強いられたジャン・バルジャンと、彼を執拗に追いかけるザベール警部とが激しく対立する。ジャン・バルジャンが愛の力で、絶望から精神的救援を受けたなら、冷酷な正義に捕らわれたザベールは、自殺で生を終える。

◆癒しのメッセージが盛り込まれたエッセイ集、「止まれば、ようやく見えるもの」が今年、32週間も販売量でトップについた。著者のへミン僧侶が一昨日、テレビに出演し、「一つの屋根の4家族」として暮らしながら、トイレを先取りしようと苦労した子供時代のエピソードを聞かせながら、一言付け加えた。「暮らしでの苦しみが、他人を理解する糧になる」。ジャン・バルジャンが自分を虐待した社会はもとより、一生、自分を苦しめたザベールにも、憤りや憎悪ではなく、慈悲や愛を与えたのは、おそらくこのような理由からだったはずだ。

◆大統領選挙は終わったが、より重要な選択の責任は、当選者と一緒にわれわれ皆が、等しく負わなければならない。人間的価値を尊重する和合の道に向かうか、それとも、自分の物差しによる盲目的な正義を追従するのか、戦略的に敵味方を分けることや、相対的な剥奪感でばらばらになった共同体を一つにまとめる過程で、優先しなければならない価値を選ぶのは、各自にかかっている。奴隷解放をめぐり、分裂した社会を抱擁や統合のリーダーシップで率いたリンカーンの言葉を、一度振り返ってみるのはどうだろうか。「私はいつも過酷な正義より、慈悲のほうがより大きな実りを結ぶと信じている」。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com