Go to contents

[オピニオン」国民年金の財テク

Posted December. 30, 2010 03:16,   

한국어

「国民年金は払えねぇ!」。我が大学生が最も好んで読むといわれている「空中ブランコ」の作家奥田英朗の「サウスバウンド」で、主人公の思春期の少年、上原二郎の父親は、国民年金加入を勧める女性公務員に対し、このように叫ぶ。二郎の父親は、学生時代、学生運動に投身し、アナキストへと変身した人物だ。のらくらものの父親は、部屋の中で暇をつぶし、区役所の職員が国民年金の督促に訪ねて来ると、水を得た魚のように、国民年金の不当性を力説する。

◆終始、愉快な雰囲気で展開されるこの小説で、父親は、国民年金を政府が個人の自由や選択を制限する統制装置と認識している。わが国でも、国民年金への反感が激しかった時代があった。04年に登場した「国民年金を巡る8大怪談」はインターネットを通じ、急速に広まった。100%真実ではなかったが、需給権の制限や所得月額上限規定、強制加入、基金枯渇への懸念など、国民年金を巡る国民の不信を反映した。

◆かれこれ6年の歳月が過ぎ、今年の国民年金加入者は計1925万人と、史上最高を記録した。職場や地域加入者が、それぞれ57万人以上ずつ増加した。7月、「マイ年金ー生涯の給料、国民年金」キャンペーンが始まってから、加入者は1日平均3300人ずつ増加した。07年、「より多く収め、より少なく受け取る」国民年金法の改正により、基金枯渇時期が順延され、財政枯渇への懸念が減った。平均寿命の延長と共に、周辺で受給者が増え、「国民年金でも老後の生活が可能だ」という信頼が広がっている。1988年の国民年金発足後、多くの誤解や不信を乗り越え、国民年金が定着しているような気がして幸いに思う。

◆法的加入が義務付けられている対象者でない主婦や学生などの任意加入者が急増した。主に、主婦が大半を占めている義務加入者は昨年、1日平均34人から今年は371人へと11倍に増えた。期待寿命が高まり、支払い期間に比べ、受け取る期間が一段と長いという計算のためだ。ソウル地域の任意加入者が、江南(カンナム)や松波(ソンパ)、瑞草(ソチョ)、陽川区(ヤンチョング)の順に増え、国民年金が所得の高い地域の新たな財テク手段となっていることを示唆している。10年、国民年金は受給者が300万人を突破し、基金運用規模は300兆ウォンに達している。まだ510万人が死角地対にあるものの、国民年金という木はすくすく伸びている。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com