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グレッグ氏が見過ごした天安艦の真実、米専門家が指摘

グレッグ氏が見過ごした天安艦の真実、米専門家が指摘

Posted September. 15, 2010 07:46,   

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米戦略国際問題研究所(CSIS)のラリー・ニクシー研究員は13日、東亜(トンア)日報に寄稿文を送り、ドナルド・グレッグ元駐韓米国大使による1日付のニューヨークタイムズの寄稿での「哨戒艦天安(チョンアン)の沈没は事故の可能性が高い」という主張に反論した。ニクシー研究員は、今年初めまで米議会の政策研究機関である議会調査局(CRS)で北朝鮮を研究してきた韓半島問題の専門家だ。以下は寄稿文の要約。

グレッグ元大使は、天安艦沈没事件に対して論議の余地があると強調した。公信力が立証されておらず、公開もされていないロシアの調査報告書を引用して、「天安艦の沈没は魚雷でなく機雷による可能性が高い」とし、海中の漁網にかかった可能性を提起したのだ。このような主張には、韓国政府の主導で軍民合同調査団が発表した、「天安艦は魚雷を受けて沈没し、北朝鮮がこの事件に関与した明白な証拠がある」という事実に対する疑問を増幅させようとする意図が読み取れる。

グレッグ氏の主張は、2つの重要な事実を見過ごしている。グレッグ氏は、英国とオーストラリア、そしてスウェーデンが合同調査団に参加し、共同で事故原因の調査を行った事実について言及しなかった。グレッグ氏は、まるで今回の調査が韓国と米国政府による単独調査であるかのように描写している。

グレッグ氏は、天安艦事件に対する国連安全保障理事会の事実確認や議論の全過程を紹介せず、中国とロシアが国連安保理の北朝鮮非難に反対したという点だけを強調した。中国とロシアが同意した安保理議長声明は、天安艦事件を「3月26日の攻撃」としており、「事故(incident)」とは言っていない。安保理は、「同事件の責任ある当事者に対し、適切かつ平和的な措置を取らなければならない」と求めた。もし、沈没事件が天安艦の乗組員によって起こったならあり得ない要求であることは明白だ。

むろん、安保理議長声明は北朝鮮側が責任を否定しているという点を明示したが、依然として北朝鮮が天安艦沈没事件の背後にあるという合同調査団の調査結果と関連して深い憂慮を示した点も見過ごした。

李明博(イ・ミョンバク)大統領が天安艦最終報告書を公表したのは正しい決定だ。また、李大統領は、ロシア政府が調査結果を発表するよう誘導しなければならない。軍事や潜水艦分野の専門家が最終報告書は信頼できるという評価を下せば、グレッグ氏のように天安艦沈没事件の調査の公信力を疑う人の主張も説得力を失うだろう。

グレッグ氏の主張は、李大統領とオバマ大統領以降、韓国と米国が取っている対北朝鮮政策の批判につながる。グレッグ氏は、李大統領が就任直後から北朝鮮に対する経済支援を中止し、北朝鮮に「政治的譲歩」を迫るなど、強硬な政策を推進していると主張した。オバマ政府も、北朝鮮問題を優先順位に置いていないと指摘した。

しかし、韓米両国の「タフな」対北朝鮮アプローチは、北朝鮮が自ら招いた面が大きい。オバマ政府の対北朝鮮政策は、米国の北朝鮮問題に対する無関心の表れというよりも、最近、北朝鮮が取ってきた挑発によるものという点を明らかにする必要がある。このような状況で、北朝鮮の核問題に対する進展が事実上難しいという悲観論が、ワシントンの韓半島専門家の間に広がっている。

グレッグ氏が求める平壌(ピョンヤン)との対話が正しい政策代案にもなり得るが、現在の対話中断の状態を韓国と米国政府の責任にすることは適切でない。より効率的な対北朝鮮政策を模索しなければならないというグレッグ氏の忠告は正しいが、彼のニューヨークタイムズの寄稿は現状を精密に分析していない。