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[オピニオン]ロシア発のアグフレーション

[オピニオン]ロシア発のアグフレーション

Posted August. 09, 2010 06:46,   

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「穀物価格の上昇による物価上昇」を意味する「アグフレーション」(agflation)は、米国証券会社メリルリンチが07年に作った新造語だ。7月に国際小麦価格が42%も高騰し、2年前のアグフレーションの悪夢が再現されるのではないかという懸念が出ている。今度の小麦価格の高騰は、ロシアが130年ぶりの記録的な干ばつに見舞われると、穀物生産の激減を見込んで、小麦をはじめ穀物輸出を全面的に中止したためだ。小麦価格が値上がりすれば、これを原料に使うラーメンやパン、素麺のように韓国の庶民に親しまれている食品価格が値上がりするバタフライ効果(遠隔波及効果)が現れる。

◆アグフレーション現象は、中国やインドなどのアジア新興諸国の登場が主要要因として取り上げられている。人口が25億人に上る両国の経済発展は、食品需要の爆発的な増加をもたらした。食生活の変化により、肉類の消費が増えると、動物飼料用穀物の需要も大幅に増加し、二重の価格上昇を招いた。さらに、地球温暖化による気象異変により、穀物生産量が減っている中、地球温暖化の解決に向け、バイオ燃料の生産を増やし、穀物の栽培面積を減らしたことも、穀物価格の上昇に拍車をかけている。

◆今年の穀物価格の上昇が08年のように、深刻な状況を招くかどうかはまだ分からない。穀物生産に大きな影響を及ぼす気象異変は、ロシアのみならず、地球村のいたるところで起きており、不安でならない。中国は大洪水により米農業が大きな打撃を受けており、カナダも豪雨のために小麦の生産量が減少する見込みだ。インドでの干ばつで7月末に砂糖価格が大幅に上昇したことも悪材料となっている。しかし、来年6月の全世界の小麦の在庫は1億8700万トンに上り、国際原油価格も2年前の半分水準で、それほど心配することではないという見方も出ている。

◆わが国の穀物自給率は、経済協力開発機構(OECD)メンバー国のうち最下位の水準である26%(08年)で、食糧安保のレベルからも脆弱である。飼料用を除いた食料自給率も49.2%(06年)に過ぎないが、それも米を除けば、わずか5%だ。米一辺倒の穀物栽培構造を見直し、穀物輸入先をうまく管理する一方で、海外農業生産基地の開発にも引き続き取り組むべきだ。政府が推進している小麦の10%を米の粉で取り替えるプロジェクトは、勝ち目がありそうだ。有り余る米の消費を増やし、小麦の輸入を減らす一石二鳥だ。

權順澤(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com