「日本の新聞は、私を東京大学の『ヨン様』と呼びます」
東京大学の姜尚中(カン・サンジュン)教授は22日、ソウル中区(チュンク)のプラザホテルで開かれた韓国国際交流財団フォーラムの講演をこのように始めた。在日韓国人2世の姜教授は、98年に韓国国籍者として、初めて東京大学教授になった。日本の問題点を鋭く批判してきた「在日論客」で有名な姜教授は、「悩む力」(08年)などの様々な著書で、日本でベストセラーに上った。
そのような姜教授が、「新しい日韓関係」をテーマにした講演で、「ヨン様」を話題に取り上げた。日本を冷徹に批判した在日韓国人に、韓流代表俳優のペ・ヨンジュン氏のニックネームをつけたこと自体、最近変わった日本国内の韓国に対する評価を暗示しているという意味だった。
「最近の『金妍兒(キム・ヨナ)シンドローム』などで、日本のメディアは『日本が韓国に追い越されるのではないか』憂慮しています。三星(サムソン)の売り上げは、日本の家電企業全体を合わせたより多いです。『トヨタショック』もあり、韓国自動車に対する日本国内の評価も、急速に良くなっています。そうした中、日本で政権交代が起きました」
姜教授は、これを日韓関係に肯定的な変化と見る。しかし、歴史問題や独島(トクド、日本名・竹島)問題、北朝鮮に対する態度、在日韓国人などの外国人地方参政権問題、日韓間の貿易不均衡現象が、日韓関係を阻害していると説明した。
姜教授は特に、フランスのミッテラン政権が、西ドイツ政府の東方政策を支援し、統一ドイツに対し、否定的でなかったという外交文書が最近公開されたことを紹介し、「日本が、南北関係でフランスのミッテラン政権のような役割をしなければならない」と強調した。独島問題については、すでに韓国が実効し、支配をしている状況なので、感情的に反応する必要はない」と話した。
姜教授は、7月に日本の参議院選挙で民主党が勝利すれば、「良い日韓関係」が可能だと見通した。特に、「韓国が対日関係で、自民党政権の永続性を前提にして作った『自民党ネットワーク』を『民主党ネットワーク』に変えなければならない」と指摘した。そして、「現在の日本政治は、不透明で不安定な状態だが、韓国は日本に過剰な期待を持っても、悲観的にだけ見てもいけない」と話した。
ただ、姜教授が見る日本経済の危機は深刻だった。姜教授が指摘した日本の最大の問題点は、財政赤字。「日本の財政赤字は、国内総生産(GDP)対比100%以上です。欧州の最大危機であるギリシャの場合、財政危機がGDP対比110%です。5〜10年内にこれを解決できなければ、日本経済が『ギリシャ化』するという悲観的な展望が出ています」。
そして、「日本は、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の時代は終わり、米国、中国に続き『ナンバースリー』に満足しなければならない相対的な衰退感を受け入れなければならないでしょう。韓国は、このような激変期に『鯨に挟まった魚』ではあるものの、小さな魚ではなく、活発に動くイルカなので、悲観的ではありません」と指摘した。
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