Go to contents

ワインに夢中だった若者たち、今や「マッコリを知らないと時代遅れ」

ワインに夢中だった若者たち、今や「マッコリを知らないと時代遅れ」

Posted February. 23, 2010 09:07,   

한국어

19日の夕方、ソウル江南区狎鷗亭洞(カンナムグ・アックジョンドン)のある路地。金曜日の夕方らしく、至るところに外車が立ち並び、タレント顔負けの男女が特に多かった。その真ん中に、町の雰囲気とよく合っているマッコリの飲み屋がある。店名は「月光の酒の塀=ムンジャール」。店の中の様子も、外の様子とさほど変わらない。角がへこんでいる黄色い薬の缶で酒を注ぐ客らは、スリムジーンズやキールヒル(かかとの高い靴)を自慢する女性やカラフルなスニーカーやウィングチップ(先端に『W』文字の裁縫ラインが入ったスタイル)の靴でおしゃれをしている男性だった。

「これからは、有名なマッコリの銘柄や由来の一つや二つぐらい覚え、味も吟味しないと。一時、ワインの銘柄一つぐらい覚えなければ時代遅れだといわれた時代があったように、いまやマッコリもそうなるでしょう」

「ムンジャール」の李スンテク社長(31)は、時代をリードし、流行を先導する人々がマッコリを求めていると確信している。マッコリ・バーが、大勢の若者が訪れるソウル新沙洞(シンサドン)や清潭洞(チョンダムドン)、狎鷗亭洞、弘益(ホンイク)大学前などに増えている理由でもある。

●「○○屋台」は去れ

最近のマッコリの飲み屋は、名前から違う。以前は「○○屋台」や「居酒屋」などと呼ばれたが、個性や趣を現す名前にがらりと変わったのだ。

「月光の酒の塀=ムンジャール」だけ見ても、「月光の酒の塀」は「月と光、酒と談笑のある空間」という意味であり、「ムンジャール(Mon Jar)」は、「月の壺」という意味だ。ソウル弘益大学周辺に新たにオープンしたマッコリ・カフェの名前は、強烈な「ザ・マッコリ」だ。そのほかにも、弘益大学前の「チンチン」や狎鷗亭洞の「ムイムイ」なども、若さを感じさせる。

しかし、若者らだけが好んでいるわけではない。李社長は、「明らかにはしないが、名前さえ言えば、知る人ぞ知る企業グループの会長たちも、たまに訪れる」と話した。特に、若者とのコミュニケーションを強調する有名人らは、マッコリをコミュニケーションの道具として使う場合が多いという。マッコリ・バーを掲げる飲み屋が時にはカフェの雰囲気を、時にはギャラリーの雰囲気を提供する内装にするのは、世代間のコミュニケーションを考慮しているからだ。

●デパートやホテルにもマッコリ

流行なら引けを取らないデパートの文化センターにも、マッコリ関連の講座が登場した。ロッテデパートは今年の春学期に、「自分だけのマッコリ・カクテル・パーティー向け酒仕込み」や「マッコリの全盛時代」などのマッコリ講座を初めて開設した。トレンドを追う「おばさん層」のニーズを反映したのだ。新世界(シンセゲ)デパートも、「国内の伝統酒を巡る理解」や「家庭でマッコリの仕込み方」、「自分だけのマッコリ・カクテルの作り方」などの講座を開設している。

最高級文化のシンボルである特急ホテルでも、マッコリは人気を博している。マッコリ味の基本を保ちながら、ビンやサバル(どんぶり鉢)を別途製作し、高級な感じを作り出している。シェラトン・グランド・ウォーカーヒルホテルの李ジェオク韓国食料理長は、「マッコリの先入観さえ捨てれば、マッコリと高級文化との調和は十分可能だ」と説明した。同ホテルは昨年8月からマッコリの販売を開始したが、最初は韓国飲食店の飲料の売り上げの4%を占めていたのが、今年1月は10%以上に大幅に増えた。ウォーカーヒルは今年、桜で有名な「ウォーカーヒルの春花祭り」期間には、「マッコリ・ゾーン」を設け、高級白磁の銚子やグラスのマッコリを販売する計画だ。

●「マッコリはシンプルで楽しい」

マッコリの大成功を予測する人々は、マッコリはシンプルさと楽しさに注目している。ほかの飲み物と比べた場合、ワインは難しすぎ、ビールは余りにも平凡だという。最近、マッコリ・バーでは、さまざまな種類のマッコリを小さなサバルに注ぎ、味見した後、どんな酒類のマッコリかを当てるゲームが人気を集めている。ワインなら、見分けどころか、銘柄すらよく分からない人でも、不思議なことにマッコリはよく当てるという。業界関係者らは、「理由はよく分からないが、わたしたちの中に潜んでいる『マッコリDNA』のためではないか」と推測する。

ワイン・ソムリエでもあるマッコリメーカー「チョガ」のアン・スンべ研究室長は、「フランス人が、ワインに詳しく、誇りを持っているのも、同様の理由からだろう」とし、「我々も、我々の中の『マッコリDNA』をうまく活用すれば、マッコリもフランス・ワインのようになりうる」と話した。

●発展可能性は無限大

「トレンド・セッター」たちにぴったりのマッコリは、その領域が想像を超えている。マッコリの生酵母やたんぱく質、糖質、コリン、ビタミンB2などは、肌の老化防止や美白にも利用されている。マッコリ酒造場で働く人々の顔や手が、実際の年齢よりきめ細かいことは、広く知られている。

ソウルの「ミグリーン漢方医院」は、東医宝鑑(朝鮮時代の漢方医学書)に書かれている麹の効能やマッコリを活かした民間療法を利用し、「肌が飲むマッコリ」という内容のエステ・プログラムを作った。

最近、流行の代名詞でもある米アップル社の「iPhone」にもマッコリが浸透している。無料アプリケーション(応用プログラム)で、我が国のマッコリをPRしている。国内のマッコリ・コンテンツ関連の会が作ったアプリケーションをダウンロードすれば、全国11ヵ所の酒造場やマッコリの味に関する情報を得ることができる。電話帳をタッチすれば、酒造場へと電話が繋がり、注文することもできる。韓国語と日本語、英語版が提供されており、日本語や英語版は有料となっている。