「テレビのドラマを見ている途中、主人公の靴に目が留まる。つい、『衝動買い』してしまう。集積回路(IC)のチップのついているクレジット・カードを、テレビのデコーダーに繋がっているカードの読み取り機にかざし、暗証番号を押す。もはや、主人公の『素敵な』靴は自分のものだ」
来年初頭、インターネット・テレビ(IPTV)と結合した新しい決済サービスが登場すれば、想像の中でできたこのようなショッピングが現実のものとなる。
放送通信技術の発展に伴い、ニューメディアと金融が融合された決済手段が登場し、新たな概念のショッピング文化が開かれている。テレビと携帯電話を通じて、リアルタイムで商品やサービスを購入するTコマースやMコマースの市場が本格的に芽生え始めている。
Tコマースとは、テレビとコマース(商取引)を結合した言葉であり、IPTVとデジタルケーブルテレビなどの双方向テレビを視聴する途中、デコーダーに繋がっている端末に、カードをかざすだけで、その場で買い物ができる電子商取引市場である。
現在は、通信販売放送の途中、気に入る商品があれば、電話でオペレーターに自分のカード番号を読み上げたり、IPTVのリモコンでカードや住民登録番号を一つ一つ打ち込まなければならない。しかし、来年からはこのような過程が省かれる。新韓(シンハン)カードやBCカード、国民(クンミン)銀行や農協などから構成されるカード会社のコンソーシアムと、IPTV首位のメーカー「KT」が最近業務提携を結び、Tコマースの支払い決済方式を標準化する一方、通販会社との協議を経て、来年第1四半期に常用サービスを開始する計画だ。業界では来年、Tコマースを通じての通販市場の規模は1100億ウォンに上るものと見ている。BCカードの張洪植(チャン・ホンシク)マーケティング戦略部長は、「Tコマースが活性化するためには、IPTVの市場規模がさらに増大し、良質のコンテンツが開発されなければならない」とし、12年にアナログ放送が中止となり、デジタル放送が全面的に実施されることになれば、Tコマースによるショッピング文化は様変わりするだろう」と見込んだ。
携帯電話を利用してのMコマースはすでに市場に定着している。特に、今年に入り、第3世代(3G)の携帯電話加盟者識別カード(USIM)に直接、金を充電して使うモバイルマネーが常用化され、同市場の成長のテンポが早まっている。
来年からは現代(ヒョンデ)カードやBCカードが、携帯電話のUSIMにクレジットカードの機能を搭載して使うモバイルカードを出す予定であり、Mコマース市場はさらに拡大するものと見られる。SKテレコムも、3G携帯電話のUSIMに複数のクレジットカードや割引クーポン、メンバーシップカードを全て搭載して使う決済サービスを、来年から実施する計画だ。これまでは新韓カードが携帯電話にクレジットカードをダウンロードして使うサービスを唯一披露してきたが、USIMやモバイルカードを識別する端末の普及不足により、活性化されなかった。
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