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「世宗市、国民に問うべき」vs「数で押し切るのか」

「世宗市、国民に問うべき」vs「数で押し切るのか」

Posted November. 04, 2009 09:03,   

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与党ハンナラ党の親李(親李明博)系の一部議員が、議論となっている世宗(セジョン)市(行政中心複合都市)問題を国民投票に委ねることを提案したことで、政界はもとより法曹界や学界でも賛否の論議が広がっている。ハンナラ党の安商守(アン・サンス)院内代表は3日、国会で開かれた交渉団体代表演説で、世宗市問題に関連して、「政府が代案を出すまでは、無益な論争を止めよう」と提案して火消しに乗り出した。しかし、ハンナラ党の孔星鎮(コン・ソンジン)最高委員は同日、東亜(トンア)日報の電話取材に対して、「行政中心複合都市法は政治的妥協の産物であり、国家百年の大計のための選択ではなかったことは明らかな事実だ。政界の不十分な決定を正し、消耗的論争を防ぐために、国民が意志決定の過程に参加する国民投票が必要だ」と繰り返し主張した。

これに対して、自由先進党の李会昌(イ・フェチャン)総裁は同日、KBSラジオ放送のインタビューで、「国民投票は、国家の安危にかかわる問題に対してのみ実施することであるため、世宗市問題は該当しない。忠清(チュンチョン)圏の人口が少ないため、数で押し切るという不快な考えだ」と反論した。民主党の禹相虎(ウ・サンホ)報道担当も、「与野党が長い討論の末に合意して処理した法を守らないために国民投票を主張することは、実現の可能性がない見せかけにすぎない」と批判した。

●与党内部で激論

国民投票のカードは、与党の主流陣営が声を一つにして出した単一案だと見るにはまだ難しい状況だ。国民投票カードが抱えている引火性のためである。

このため、親李系の一部の強硬派議員が、世宗市問題の突破口を開くために、先導的に国民投票カードを争点化したという観測が流れている。ある親李系の党役員は、「朴槿恵(パク・グンヘ)元代表という壁にぶつかり、正常な党内の意見収れんが難しくなったため、国民投票問題を取り上げだ」と話した。孔最高委員も、「党内の議論と与野党間の論争など一連の過程を経た後に、大統領が決断をする方法の一つとして、国民投票カードを活用することができる」と説明した。

しかし、親李系内部でも、「国民投票は『最後の選択』だ」という慎重論が少なくない。ある親李系議員は、「国民投票をすれば、大統領に対する信任投票に変質する恐れがある」と警戒した。

親朴(親朴槿恵)陣営は、公に反対している。中立の金晟祚(キム・ソンジョ)政策委議長は同日、仏教放送に出て、「(世宗市問題は)国民投票を実施する事案ではないと考える。国民投票をすることは、国民統合に役立ちそうにない」と反対した。

●世宗市国民投票、法的根拠はあるのか?

一部の親李系議員が世宗市問題を国民投票に委ねると主張する法的根拠は、憲法第72条だ。同条項は、「大統領は、必要と認める時には、外交・国防・統一その他の国家の安危にかかわる重要政策を国民投票に委ねることができる」とされている。世宗市問題が、「国家の安危にかかわる重要政策」になるという話だ。

これに対して憲法学者の意見は交錯している。

ソウル大学の成楽寅(ソン・ナクイン)教授は、「憲法の字句にしばられる必要なく、直接民主主義を導入した以上、世宗市問題を国家の主要政策と見て、国民投票に委ねることが可能だと考える」と述べた。西江(ソガン)大学の林智奉(イム・ジボン)教授も、「憲法第72条は、大統領に国民投票の付議権限と対象に対する広い裁量を与える条項であるため、世宗市問題での国民投票は可能だと考える。世宗市問題も、政府の行政首都機能の分散という側面で、重大な国家の大事だ」と強調した。

いっぽう、憲法裁判研究所の許営(ホ・ヨン)理事長は、「世宗市問題は、国家の安危にかかわる重大な事案と見ることはできない。憲法の条文を拡大解釈しても、国民投票の要件には合わない」と主張した。許理事長は、国民投票を実施する場合、メディア関連法のように憲法裁判所が決定を下す事態が再発することを憂慮した。ソウル大学の鄭宗燮(チョン・ジョンソプ)教授も、「韓国には、政策に対して一般的に国民投票をする制度はない。このため、世宗市問題は国民投票の対象ではない」と強調した。

●長年の国民投票議論

世宗市問題と関連した国民投票議論は、行政中心都市特別法が05年3月に国会を通過した時から出ていた。現在法制処長の李石淵(イ・ソクヨン)弁護士が05年6月に、行政中心都市特別法が違憲かどうかの判断を求めて憲法訴訟を提起し、国民投票を取り上げた。

李処長は当時、憲法訴訟審判請求書で、「首相と12の政府省庁をソウルから地方に移すことは、首都を事実上2つに分けることであり、これは、『国家の安危』にかかわる重大事であるため、国民投票を経なければならない」と主張した。国家の安危にかかわる事案に対して国民投票を実施しないことは、憲法第72条に反し違憲というのが憲法訴訟請求の趣旨だった。しかし、憲法裁はこれに対して「却下」の判決を下した。

しかし、当時の憲法裁の決定後も、ハンナラ党議員らは、「国民投票を実施すべきだ」と主張した。

●国民投票を実施しても問題

韓国社会世論調査研究所が先月26日に実施した世論調査の結果によると、世宗市原案の修正が40.5%、原案推進が36.3%となった。わずかに原案修正の世論が高い。しかし、国民投票が実施されるなら、その結果は簡単には予断できない。

しかし、紆余曲折の末に国民投票をしても、その結果をめぐって再び議論が起こる可能性が高い。中央選挙管理委員会関係者は、「現行の国民投票法によると、世宗市問題を国民投票に委ねたとしても、その結果をめぐって政治的解釈をせざるを得ない」と明らかにした。重要政策に関する国民投票は、憲法改正案を処理する時と違って可否に対する規定がないためだ。国民投票が終われば、大統領はその結果を公布しなければなければならないという規定だけだ。このため、世宗市問題に対する国民投票が実施されても、結局また別の政治議論に広がらざるを得ないのではないか、という観測が流れている。



kimkihy@donga.com needjung@donga.com