全国の学習塾で午後10時以降に授業ができないように法制化する私教育抑制対策が出されるもようだ。政府の対策には、有能な学習塾の講師を学校に招いて、補完授業をする「放課後教室」を強化し、大学入試に手を入れる案も含まれている。大統領選挙で、「私教育費の抑制」を公約とした政府が、深刻な経済不況の中で、私教育費の軽減に全力投球することに反対する人はいない。
私教育費対策は、歴代の政府でも出た定番メニューだ。政権は毎回、「今回は必ず私教育費を減らす」と大口を叩いたが、いつも「不渡り小切手」に終わった。むしろ、私教育費の規模は、毎年雪だるま式に増え、中産層を苦しめた。現政府は、「私教育との戦争」という言葉を使い、「戦死をすることがあっても、とことん追い込む」と意欲を見せている。しかし国民は、政府対策に何度も失望した経験があり、期待値があまり高くない。
一部公開された対策は、実效性が疑わしい。「学習塾の授業時間の制限」案にしても、多くの学習塾を一つ一つ取り締まることができるだろうか。家庭教師による個人教育を煽り、私教育費の支出だけを増やす恐れがある。代案として提示された「放課後教室」は、学習塾を学校の中に移すことにすぎない。一時しのぎにはなるかも知れないが、抜本的な解決策ではない。昼間の授業で生徒たちが居眠りをする「教室崩壊」現象から正してこそ、公教育の正常化につながり、私教育対策も效果が期待できる。
入試制度の改正も、副作用が憂慮される。政府が入試規制をすれば、他方で私教育市場が新たに形成される「風船效果」を何度も経験した。私教育業者は、変化した入試体制にも、機敏に新しい需要を創出し、父兄は学習塾の言葉を信じる。最終的に政府は、泥縄式の失敗を繰り返えしてきた。そのうえ、入試に対する過度な介入は、大学教育の自律性を害する恐れもある。
政府は、2、3週後に予定された最終対策発表に先立ち、歴代政権の私教育対策がなぜ失敗したのか、その原因を調べる必要がある。政府が規制を振り回して私教育を抑えるやり方は、「必敗」に終わった。教員評価制を導入して、教職社会の事なかれ主義風土を改善し、学校に対する予算支援の拡大、学校の多様化といった公教育の拡充政策が必ず伴わなければならない。政府が内容のある対策を出すことができなければ、今回も歴代政権の失敗を繰り返すことで終わるだろう。