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[オピニオン]狂風と疾風の怒濤

Posted September. 16, 2008 08:37,   

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狂風と疾風は、意味は似ていてもニュアンスはまったく異なる。「狂ったように荒々しく吹きつける風」を意味する狂風は否定的な意味が強いが、「非常に速く吹く風」を意味する疾風は、何となく肯定的な感じを与える。民主化運動が歴史的発展に寄与した激変時代は「疾風怒涛の時代だった」と言うが、中国の文化大革明や日本帝国主義、ナチス・ドイツ治下のように暴力と全体主義が横行した時は、狂風が吹き荒れたと言う。

◆北朝鮮の対南ラジオ放送である平壌(ピョンヤン)放送は14日、「われわれ人民は、いかなる狂風が吹きつけようとも、世が何度変わろうとも、社会主義の祖国を最後まで守り抜き、輝かせていく」と強調した。「千万軍民は、共和国を一瞬も離れては生きていけない母の胸と考え、祖国の富強繁栄のために、愛国の道に自分のすべてを捧げている」とも主張した。北朝鮮メディアは、体制の引き締めと内部団結が必要な時、「いかなる狂風が吹きつけようとも」という表現をよく使う。労働新聞は、金正日総書記の66回目の誕生日前日の2月15日にも、「この世にいかなる狂風が吹きつけても、空と地が何度変化しようとも、金正日将軍様だけを信じてついていけば…」と書いている。

◆北朝鮮政権樹立60周年記念日の9・9節の行事に、金総書記が出席しなかったことで既成事実となった金総書記の「健康悪化説」が、依然として様々な分析と憶測を生んでいる。初期のころは、「金総書記が脳卒中で意識不明の状態」という説から死亡説まで流れたが、最近は落ち着いている。韓国政府関係者が12日、「金総書記は、歯を磨くことができる程度の健康状態であると把握している」と話していることから、統治不能状態ではなさそうだ。

◆北朝鮮は、金総書記の健康悪化時に受ける外部からの衝撃を「狂風」と見るようだ。しかし、北朝鮮の世襲政権を60年間維持させたのが、まさに主体思想の狂風だった。その狂風も、自由と開放という疾風怒濤の前に力を失う日が来ないだろうか。平壌放送が、「いかなる狂風が吹きつけても…」と言い、体制死守を強調したのは、もしかすると時代錯誤的な世襲・専制社会主義の狂風が自由民主主義と市場資本主義の疾風怒濤によって消滅することに対する、不安の表われではないだろうか。

権順澤(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com